大谷の元相棒が筒香と“タッグ” 日米架け橋へ「日本から学ぶことが多かった」

エンゼルスなどでプレーしたカート・スズキ氏【写真:編集部】
エンゼルスなどでプレーしたカート・スズキ氏【写真:編集部】

スズキ氏「子どもたちにとって新たな世界の扉が開くように」

 昨季までの15シーズン、アスレチックス、ナショナルズ、エンゼルスなど5球団でマスクを被ったカート・スズキ氏が2024年4月に来日し、日米の野球少年の交流に一役買うこととなった。現在、ロサンゼルス近郊で小学生の硬式野球チームを率いるスズキ氏は、米ジャイアンツ傘下3A所属の筒香嘉智内野手がオーナーを務める「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」と連携。日米あわせて約70人の子どもたちが2日間にわたり、国際交流を深める。

 ハワイ出身で日系3世のスズキ氏は、かねてより野球を通じて自身のルーツでもある日本と米国を繋ぐ役割を果たせないか考えていたという。高校時代の親善試合やメジャー開幕戦など3度の来日経験があり、「日本の野球文化やプレースタイルから学ぶことが多かった。挨拶や規律を重んじる文化の違いもとても新鮮だった」と振り返る。

 引退後、少年野球チームでヘッドコーチを務めるようになり、「子どもたちに日本の野球を見せることができたら、きっと良い経験になるに違いない」と考えていたところ、知人から日本にも国際交流を図りたいチームがあると知らされた。それが、和歌山橋本アラボーイズだった。

 野球をきっかけとしながらも、野球という枠に囚われず、子どもたちに伸び伸び育ってほしいと願う気持ちが一致。今回はスズキ氏がコーチを務めるチームの子どもたち17人が、筒香が地元・和歌山に作った天然芝グラウンドを持つTSUTSUGO SPORTS ACADMYを訪問し、和歌山の子どもたちと交流することになった。スズキ氏は「子どもたちは今からワクワクして待ちきれない様子。言葉も文化も違う同年代の子どもたちと出会うことで、新たな世界の扉が開くことを願っています」と期待する。

 和歌山橋本アラボーイズの子どもたちにとっても、アメリカで野球に励む同年代の子どもたちと触れ合う、またとない機会になる。チームで代表を務める筒香の兄・裕史さんは「橋本で海外の方と触れ合う機会は滅多にないので、とても有難いこと。言葉や文化の違う子どもたち同士がどうやってコミュニケーションを取っていくのか、とても楽しみです。野球を通じて世界を知る、いいきっかけにしてほしいと思います」と話す。

筒香もメッセージ「今までにない貴重な体験になると思います」

 また、メジャー経験の豊富なスズキ氏の訪問が、チームの指導者たちにとって学びや気付きの場になることも願っている。

「失敗に対する向き合い方であったり、勝ち負けに置く重要度など、日本の指導者とはまた違った価値観や視点を持っていらっしゃると思います。メジャーの第一線でプレーしていたスズキさんが、子どもたちとどう関わっているのかなど、我々のコーチ陣にとって新鮮な学びになることを期待しています」

 また、オーナーを務める筒香も今回、縁あって交流を図ることになった日米の子どもたちにメッセージを寄せた。

「ロサンゼルスからやってくる子どもたちにとっても、アラボーイズの子どもたちにとっても、今までにない貴重な体験になると思います。一緒に過ごせる時間は2日間ですが、たくさん友達を作って、野球をきっかけに始まる友情がいつまでも続くことを願っています」

 和歌山に桜の花が咲く頃、日米の子どもたちの間にも新たな友情が芽吹くことになりそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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