菊池の偉業に黄色信号? セGG賞の注目ポイントは…三塁では“異常事態”も
守備の名手に贈られる栄冠は11月10日に発表…セの候補者は82人
その年、もっとも卓越した守備を見せた選手に贈られる「第52回三井ゴールデン・グラブ賞」が10日に発表される。昨年、セ・リーグでは広島・菊池涼介内野手がリーグ最多タイの10年連続10度目の受賞を果たしたが、今年はどうなるのだろうか。今年度の有資格者もすでに発表となっており、受賞の行方に注目が集まっている。
客観的数値でプロ野球の分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)の指標を参考に注目ポイントを占う。最大の注目は二塁手部門か。これまで数々の好守でチームを救ってきた菊池だが、同じ守備位置の平均的な選手と比べた時に、どれだけ失点を増減させたのかを示す指標「UZR」で見ると、有資格者5人の中で最低の1.0にとどまった。1位に輝いたのは巨人・吉川尚輝内野手。12.0で2位のDeNA・牧秀悟内野手の6.2を大きく上回った。
一方、失策数は菊池が最も少ない3で、守備率はトップの.995。2位が.992(5失策)で吉川となっている。吉川は昨季の失策数11から大幅に減らしているが、どのような結果となるだろうか。
遊撃手部門はデータで見ると中日・龍空内野手とヤクルト・長岡秀樹内野手、阪神・木浪聖也内野手の戦いなりそうだ。UZRでは10.0と9.7の僅差で龍空がリード。一方で、龍空は終盤二塁としての出場も多く、遊撃での守備イニング数は龍空が682回2/3なのに対し、長岡は1125回2/3と大きく上回る。イニング数当たりのUZRだと両者の差はさらに開くが、守備イニング数がどう投票に影響するか。失策数は両者同じ8個で、守備率は長岡が.986でトップ。木浪はUZRこそ「0.6」だが、長岡に次ぐ1096回2/3を守り、守備率は2位の.982(失策10)だ。
逆に難しいのが三塁手部門だ。有資格者の中で、今季UZRがプラス指標の選手はDeNA・柴田竜拓内野手の2.1のみ。一方で今季の柴田の三塁での出場は72試合でわずか167回にとどまる。また、他の候補者は皆UZRで見るとマイナス指標。阪神・佐藤輝明内野手は失策20(守備率.938)、ヤクルト・村上宗隆内野手も失策22(守備率.937)と失策が多い。DeNAの宮崎敏郎内野手が113試合、878回2/3を守っており、柴田を除いてトップの守備率.964(失策9)を記録しているが、例年の受賞者と比べると低い数値。今季は「該当者なし」の可能性もある。
外野手部門では阪神・近本光司外野手が中堅でトップの9.5を記録。DeNA・関根大気外野手は左翼で6.1、右翼で3.1と高数値だが、中堅では-0.3とマイナス指標になる。UZRはポジションごとの比較のため、外野手部門の選出はUZR以外の評価で判断が分かれそうだ。
今季はセ・リーグの候補者は82人。そこから各ポジション1人(外野は3人)が選出される。今年の“名手9人”には誰が選ばれるだろうか。