阪神「6」、オリは「3」…日本一を分けた鍵、専門家が指摘する「僅かな差」

オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】
オリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

3回に先発の宮城がノイジーに痛恨の3ランを浴びる

■阪神 7ー1 オリックス(5日・京セラドーム)

 オリックスは5日、京セラドームで行われた阪神との「SMBC日本シリーズ2023」第7戦に1-7で敗れ、2年連続の日本一を逃した。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「主軸に怪我を抱えながら素晴らしいシリーズ。日本一を逃したのは僅かな差」と、シリーズを振り返った。

 先発の宮城が3回に痛恨の一発を浴びた。1死から森下に左前打、続く大山には死球を与えて一、二塁に。ここで、ノイジーには内角低めのチェンジアップを左翼席に運ばれ一挙3失点。その後、5回に2死一、三塁のピンチを背負い降板となった。

 第2戦では6回無失点と完璧な投球を見せていたが、まさかのイニング途中で降板。それでも、野口氏は「大山への死球は思わぬコントロールミス。3ランの場面もノイジーが上手く打った。少しチェンジアップが内に入ったぐらい。責めることはできない」と、試合を振り返った。

 阪神、オリックスと共にレギュラーシーズンは独走しての優勝。第7戦までもつれ、見ごたえのある死闘を演じた。注目を浴びた“関西ダービー”。日本一を手にした阪神との差はどこにあったのか。「大きな差はなかった。両チーム死力を尽くした。強いて言えば1イニングの集中打を止めることができた阪神と、止められなかったオリックス」と野口氏は口にした。

シリーズを通して1イニング3点以上を奪ったのは阪神が6回、オリックスは3回

 初戦から第7戦まで1イニングで3点以上奪った回数は阪神が6回に対し、オリックスは3回。「あと1本、1点を取ることができたか。これだけの熱戦。本当に僅かな差としかいえない」。ビッグイニングを作ることで一気に流れを掴み、ベンチを楽にさせ相手にプレッシャーを与える。ブルペンの起用法にも影響はあったとみている。

 12球団No.1の投手陣を誇るオリックス。リーグ3連覇を果たしたが、2年連続の日本一は惜しくも逃す形となった。試合後には、球団が今季16勝を挙げた山本のポスティング容認を発表。正式にメジャー挑戦が決まり、来季は3年連続「投手4冠」のスーパーエースが抜けることになる。さらに、国内FA権を取得し自己最多の11勝を挙げた山崎福の動向も不透明だ。

 チームには開幕投手を務め9勝を挙げた山下、後半戦に大ブレークし6勝をマークした東、高卒ルーキーで1軍を経験した齋藤ら期待の若手が多く在籍。それでも野口氏は「山本の穴を埋めるのは簡単なことじゃない。精神的支柱を失うのはかなりの痛手」と指摘する。

「今年は吉田が抜けて、森が入って8割はカバーできた。それは実績、実力がある素晴らしい選手が入ったから。まだ若手に山本の代わりを求めるのは酷。山下も怪我の状態が気になるところ。ただ、若い選手は勢いに乗ると手が付けられない。来季は本当の意味で中嶋監督の腕の見せ所になる」

 惜しくも日本一を逃し、新たな危機に直面する中嶋オリックス。リーグ4連覇に向けたチーム強化は、この秋からスタートする。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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