大谷翔平が追いかけた“94年世代”の背中 謙虚発言から7年…手にした史上初の偉業
「自分は誰の世代か?」1994年生まれのシーガーは渡米前から意識する存在
エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手が16日(日本時間17日)、2年ぶり2度目の最優秀選手(MVP)を受賞した。2021年も満票で選出されており、2度目の満票MVPは史上初の快挙。また、日本選手の複数回受賞も初の快挙だ。
ライバルを寄せ付けなかった。大谷は1位30票を集めて全420ポイントを獲得。2位のコーリー・シーガー内野手(レンジャーズ)は2位24票、3位6票の264ポイントで156ポイントと大差をつけた。大谷とシーガーは同じ1994年生まれ。大谷にとっては、メジャー移籍前から意識する存在だった。
日本ハムが日本一に輝いた2016年10月。中田翔、有原航平ら日本ハム選手との会食の席で、「自分は誰の世代か?」が話題になった。周囲の選手から「大谷世代」と文句なしで“選出”されたが、大谷の目は世界に向いていた。「僕はシーガー世代なので」。
シーガーは2016年に正遊撃手として定着し、新人王を獲得。一気にスターダムを駆け上がった。2021年オフには大谷と同じ地区のレンジャーズに移籍。今季終盤まで首位打者争いを演じたシーガーは今季のMVP争いのライバルと目されていた。「今年もシーガー選手、セミエン選手はワールドシリーズを優勝したように素晴らしい年だった。(ライバルたちに)負けないくらいのシーズンにしたいと思っていた。個人的にこうやって取れて、特別なことだなと思う」。満票MVPを受賞したものの、相手を称える、謙虚な姿勢は当時と変わらずだった。
現在は9月に受けた右肘手術のリハビリ中。「けがは順調に(回復し)、1回目(の手術)よりも感じ的にはすごくスムーズに来ている感覚はある。スムーズに来シーズンに入っていけるんじゃないかなとは思う。焦らずにやりたいと思う反面、しっかり来シーズンまでに間に合わせてプレーしたいという気持ちでいる」と語った。来季は打者一本となるが、3度目のMVPを期待したくなる。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)