5登板でも「確実に抑えてくれる」 20歳左腕に絶大な信頼…記者も驚く井端監督の“眼力”
井端監督が第2先発として置いた根本が2試合で防御率0.00と好投
アジア王者に輝いた野球日本代表「侍ジャパン」に欠かせなかったのが、根本悠楓投手(日本ハム)の活躍だった。第2先発として2試合に登板した左腕は、打者16人に対し、許した出塁は三塁へのバント安打のみ。防御率0.00と好投した。今季、1軍で5試合しか登板していないが、井端弘和監督はなぜ絶大な信頼を寄せていたのだろうか。
19日、東京ドーム「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」決勝戦。2点を追う5回から登板した根本は韓国のクリーンアップを3者凡退に抑えると、6回も打者3人で封じた。その間にチームは同点に。7回には先頭をバント安打で出し、犠打で1死二塁のピンチを作ったが、続くキム・ドヨン内野手を空振り三振、3番のユン・ドンヒ外野手を遊ゴロに仕留め切り抜けた。
3勝1敗、防御率2.88と好成績は収めていたものの、今季の1軍登板はわずかに5試合。にもかかわらず、井端監督は根本のことを「1周りなら確実に抑えてくれる」と絶大な信頼を置いていた。記者席では「どこで根本を見ていたんだろう」と疑問の声が聞こえることも。そんな疑問は、次の日にすぐに解消された。
「カーネクスト アジチャン」が終わった翌20日、井端監督は明治神宮野球場を訪れ、慶大対青学大を視察した。12月に行われる大学代表候補合宿も視察予定で、理由を聞かれると「趣味です」と答えたあと、こう続けた。
「趣味と言うか……。今後、何年後かアレしたとき、入ってきそう、入ってきてもおかしくない年齢だと思うんでね。先々見ておけば、すんなり呼べるのかなっていうのが、自分の中であるので。特に大学でプロを目指している子はいるので。そういうところにくるので。見ておかないと、いけないかなと思います」
根本も井端監督の願いで代表入りが実現。「今シーズン、そんなに登板していない中だったんですけど、ああやって活躍してくれたのはうれしい」と喜ぶ。大会後の会見では、選手を語る際に何度も「レギュラーシーズンから見てきた」と話していた。2024年にはプレミア12、2026年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)があるが、“サプライズ選出”がチームを救うことになるかもしれない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)