ドラフト直後の“空回り”は「僕と同じ」 悔し涙を笑顔に…ドラ7後輩に寄り添う小木田敦也
小木田敦也、TDKの後輩であるドラフト7位の権田琉成に「相談してほしい」
2年前に同じ経験をしたからこそ、気持ちがわかる。オリックスの小木田敦也投手が、ドラフト7位指名を受けた権田琉成投手を思いやった。2人は社会人野球・TDKの先輩後輩。同じタイミングでプレーしたことはないが「練習会で会ったりだとか、少しだけ知っていますね。性格的にはおとなしい方なのかなという印象です」と小木田は笑顔で明かした。
経歴が同じだけではない。「僕と一緒でしたね(笑)」と小木田が話すのは、ドラフト直後の登板で本塁打を浴びたことだった。権田は11月に京セラドームで行われた「第48回社会人野球日本選手権大会」に出場。8日にENEOSと対戦すると、5回途中から3番手でマウンドへ。DeNAからドラフト1位指名を受けた度会隆輝外野手を中飛に仕留めたが、続く丸山壮史内野手に満塁本塁打を浴び、1回戦で姿を消した。
当日に“古巣”の試合観戦をしていた小木田は「本当に僕と同じです(笑)。僕は東京ドームの都市対抗で(福良)GMや(中嶋)監督が日本シリーズを終えた直後に観に来てくださっていた時に、スコーンと打たれてしまいました」と当時を思い返した。
小木田は2021年ドラフト7位指名を受けたばかりで「気合が空回りしましたね(笑)。同じ苦い思い出があるので、こっち(オリックス)に来て頑張ってほしいなと思います」と後輩の背中を押した。
プロ2年目の小木田は、38登板で4勝&防御率2.19
新人年は16試合登板で防御率3.14の成績だった小木田だが、プロ2年目の今季は38試合に登板して4勝0敗、防御率2.19とレベルアップした姿を披露した。プロの扉を開く権田には「やっぱり、わからないことばかりだと思う。僕は誰も知り合いがいなかったので、少し時間がかかりましたけど、今回は自分がいるので安心してほしい」と頼もしい。
自身が2年間で感じたことは「自分で考えてみること」であり「1年目は自分の思う通りにやってみてほしい。それでわかってくる部分が自分もあったので、スタイルを確立していってほしい。自分だったら、山岡さんに憧れてプロに入ってきた。憧れの像としていた投手ですけど、最初から全てを聞きにいくのではなくて、まずは自分の今のパフォーマンスを出し切ってみてほしい」と期待を込める。
まだ右も左もわからないルーキーに「1年目の僕より良い投球ができる真っすぐがあると思う。何かあったら相談してほしいですね」と目尻を下げる。一発勝負で浴びた痛烈なアーチは、成長の糧となるはずだ。
○著者プロフィール
真柴健(ましば・けん)1994年、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年、日刊スポーツ新聞社に入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間、爆速で「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年2月からFull-Count編集部へ。
(真柴健 / Ken Mashiba)