西武・山田陽翔、甲子園を沸かせた19歳の“唯一”の悔い 希望と葛藤の中で戦った1年目
西武・山田陽翔は近江高から昨年ドラフト5位で入団…今季は2軍で3登板
滋賀・近江高から2022年ドラフト5位で西武に入団した山田陽翔投手。高校時代は甲子園に3度出場し、準優勝、4強2回。3年夏はエースで4番を務め、高校日本代表日本代表に選出され「U-18W杯」に出場と華々しい活躍を見せた右腕だが、プロ生活のスタートは苦しんだ。「高いレベルの中で、毎日モチベーションをキープしなくてはならない。精神的にも厳しかったです」とルーキーイヤーを振り返る。
地元の高校で甲子園優勝を成し遂げたいと、近江高に進学。1年生から試合に出ることを目標としていたが、入学してすぐにコロナ禍に見舞われ、1年夏の甲子園は中止になった。「甲子園を目標にして入学したのに、中止になった。吹っ切れない先輩方もたくさんいましたが、どうすることもできませんでした」。2年夏からは3季連続出場を果たし、通算11勝。3年夏はエースで4番、さらに主将も務めた。「忙しかったですね。甲子園は何試合やっても特別なものです」。野球ができる喜びをかみしめた。
充実した高校生活を過ごし、プロの扉をたたいたが、順調なスタートとはいかなかった。怪我の影響もあり、イースタン・リーグで今季わずか3試合の登板にとどまった。それでも「今後、試合に出られるようになってから怪我をするよりは、1年目でよかったなという感じです。ケアの大切さやストレッチの仕方、自分のリカバリーに当てる時間の使い方もわかりました」と前を向く。
10月に行われた秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」では、10日の四国アイランドリーグplus選抜戦で7回3安打無失点、30日の広島戦では5回を2安打無失点に抑える好投を見せた。1年目のシーズンをいい形で終えることができ、来年に繋がると手応えを掴んでいる。
体重は入団前から5キロ増…来季は「2軍でローテを回れるように」
「自分の納得のいくフォームで投げることができました。フォームを固めて、真っ直ぐを突き詰めていきたい。コーチからも変化球は褒めていただけることが多くて『あとはしっかり真っ直ぐだな』と言われています」
体力面も技術面もまだまだ足りていないと話すが、筋肉量を上げ体重は入団前より5キロ以上増えた。来季は「たくさんのイニングを投げられる先発で頑張りたい。2軍でしっかりローテーションを回れるように、オフも課題に取り組みたいと思っています」と意気込む。
獅子奮迅の活躍を見せた高校時代。だが、1つだけ悔いが残っている。「修学旅行が、本当はハワイだったんですよ。楽しみにしていたのに、コロナの影響で長崎のハウステンボスになりました。でも、楽しかったからいいんですけどね」。まだあどけなさが残る19歳。プロの舞台でも輝きを放つため、レベルアップを誓う。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)