大谷翔平を食でサポート「どこでも応援したい」 移籍も覚悟…日本人料理人の思い
「鮨処 古都」松木保雄さんは2021年途中から大谷の食をサポート
エンゼルスからFAとなっている大谷翔平投手の去就に、地元アナハイムからも熱い視線が注がれている。カリフォルニア州ファウンテンバレーの「鮨処 古都」の店長、松木保雄さんもその一人だ。本拠地エンゼルスタジアムへ弁当を届けるなど二刀流の食事面をサポートしていた。日頃からエンゼルス帽子を被って店に立つが、「どこへ行っても応援したいと思います。ワールドシリーズ制覇の夢を果たして欲しいです」と期待を込めた。
元々は水原一平通訳のアルバイト先だった。大谷は渡米したばかりの2018年2月3日に来店。「一平さんとお越しになられて。刺し身の盛り合わせとか煮物とか。最後にお寿司を召し上がられてました。お酒は一切飲んでなかったです。よく食べるなと思いました」。松木さん自身も社会人野球・日拓ホームなどでプレーしてきたが、大谷の胃袋には驚いたという。
「もっと地元の人に大谷選手を知ってもらいたい」。2018年、そんな思いから「大谷丼」を作った。マグロ、サーモンなど新鮮な刺し身に、卵には「ホームラン17」。ホームベースの形をしたきゅうり、バットに見立てたゴボウ、丸くしたワサビにはボールの縫い目のような模様を入れた。「シーズンが始まると注文が多いですね。今では大谷丼が一番人気になりました」と笑顔を見せる。
「大谷丼」は看板メニューに「ド軍なら青、ジ軍ならオレンジを丼に」
大谷へ弁当を届けるようになったのは、2021年8月頃からだ。水原通訳から「お弁当を持ってきてくれませんか?」とオーダーが入った。当初はメニューの中からの注文だったが、“おまかせ”の日もあった。「酢の物は疲れをとる効果がある」「登板の時は山芋ぶっかけ茶そば。さっぱり食べやすくて消化も良い」「生物は炙ってから。元気がない日は大谷丼を」。お店から球場までは車で20分ほどの距離。計25日分の食事を届けていたという。
昨季までエンゼルス選手だった日系3世カート・スズキも好物という納豆巻きや、水原通訳から「ホームランを打てるような弁当を作ってください」とお茶目なリクエストされた時もあった。「美味しかったです」「おかげさまで打てました」。水原通訳を通じて伝えられる感謝の言葉は、料理人の冥利に尽きた。
2022年4月には「鮨処 古都」と書かれた大谷直筆の写真プレートを贈られた。「店の宝物です。最高にうれしかったです」と感謝する。ただ、今オフでFAに。仮にエンゼルスを去ることになっても、松木さんは「大谷丼」を継続するつもりでいる。
「エンゼルスに残ってくれるんじゃないかという思いはありますが、ご本人の意思ですから。ドジャースなら青、ジャイアンツならオレンジを丼に入れようかなと思っています。大谷選手の夢を果たして欲しいです」。真摯にサポートを続けてきた地元の料理人は二刀流の将来を願った。