DeNA運営ショップなのに“佐藤輝明グッズ”発売 虎党殺到…異色コラボが実現した理由
ハマスタ近くの「+B」は「野球ファンに雑貨を含めたアパレルを展開」
横浜DeNAベイスターズが運営するライフスタイルショップ「+B(プラス・ビー)」は、横浜スタジアムほど近くにある。通常のグッズショップとは違い、コンセプトは「LIFETIMEにBASEBALLをプラスする」。青色のベイスターズ応援グッズはない。11月にはライバル球団のはずの阪神・佐藤輝明内野手が手がけた商品が発売されて話題となっている。
2015年にオープンして来年が節目の10年目。球団ビジネス統轄本部MD部MD企画グループの大関章寛さんは「『B』はベイスターズではなくベースボール。運営しているのはベイスターズですが、MLBもNPBも草野球も、全ての野球ファンに雑貨やアパレルなどを幅広く提供しています」と説明する。NPBのキャップはあるが、ベイスターズのユニホームやタオルなどは一切置かれていない。
10月には草野球チーム「たけし軍団」とコラボ。異例のタッグは、「テレビ番組でたけし軍団さんが草野球対決をやっているのを見ていた世代ど真ん中」という大関さんが事務所に熱意を伝えたところから実現した。「野球をどう表現するか。それを広めていきたい」という通り、前例に捉われることはない。
そんな中で誕生したのが、佐藤輝がディレクションした商品だ。モンスター企画第2弾として「自身が監督になった時に理想とする3つの選手像」を佐藤輝が考案。そこで生まれた、腕が長すぎてリリースポイントがバッターのわずか1メートルのところまでくるピッチャー「ネコカ」、とんでもないデカイ手でミート力抜群年間300ヒットを誇るアベレージヒッター「モグラ」、バネの様な体と並外れた強肩を武器に盗塁阻止率100%を誇る「バネオ」を、モンスター作家のTOMASONさんが描き起こして「CRAZY MONSTERチーム」ができあがった。
「最終的には12球団でやれたらいいなと思っています」
第1弾として昨年3月にDeNAの今永昇太投手がディレクションしたモンスターグッズが大ヒット。第2弾をつくるにあたり、大関さんが他球団でできないかを模索した。阪神の商品企画担当者が「+B」を視察に訪れていた縁もあり快諾され、中心選手である佐藤輝に依頼して今回の“コラボ”に至った。
「佐藤選手は、自分の思い描いたものが形になって出てきて、喜んでくれていたと思います」と大関さん。ファンの反応もよく、「タイガースファンが7割、ベイスターズファンが3割くらい」というほど、店を訪れる虎党も多かった。オンラインショップでの購入分布図も関西エリアが飛び抜けて出るほどで「お店のコンセプトを理解した上で、ファンの方にも喜んでいただけたと思っています」と納得顔だった。
異例のコラボが成功し、今後はさらに輪を広げていくことを目指している。大関さんは「難しいかなと思っていた中で阪神さんがOKしてくださって、1つ事例ができた。最終的には12球団でやれたらいいなと思っています。今回の佐藤選手とのコラボをきっかけに、色々な球団のファンの方に来店いただけたら」と思い描く。グッズショップはその球団のファンが足を運ぶのが通例だが、「+B」には球団の垣根を越えて“野球”でつながった魅力がある。
(町田利衣 / Rie Machida)