侍Jの難敵に…成長著しい台湾プロ野球 陽岱鋼の弟分が新人王、プレミア12の有力候補
シーズンMVPは投手2冠を達成した味全のギャノン、中信兄弟の鄭浩均が新人王
アジアプロ野球チャンピオンシップ終了後の11月21日、台北市内のホテルではCPBL(台湾プロ野球)の年間表彰式が開催された。投打各タイトル、すでに発表されていたベストナイン、ゴールデングラブ賞などの表彰と共に、新人王、最大成長賞、年間MVPの発表が行われた。
年間MVPの候補には、13勝で最多勝、155奪三振もリーグトップと、チームの優勝に貢献、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞したドリュー・ギャノン(味全)、夏場から調子をあげ、9月には月間MVPを獲得、23本塁打で2年連続キングに輝いた味全の主砲、吉力吉撈・鞏冠(ギリギラオ・コンクアン)、そして元々は捕手ながら、昨季から打撃に専念、今季はほぼ指名打者での出場で、打率.313(リーグ4位)、22本塁打(同2位)、83打点(同1位)とキャリアハイの成績を残した廖健富(楽天)の3人がノミネートされていた。
結果、ギャノンが136ポイントを獲得、チームメートの吉力吉撈・鞏冠を約20ポイント上回り、MVPを獲得した。2020年、韓国プロ野球の起亜でプレーしたギャノンについては昨季、韓国球界に加え、日本の球団も関心を示したが、ギャノンは味全の環境や首脳陣や選手間の良好な関係を気に入り残留を決めた経緯がある。味全ではギャノンを始め、シリーズ制覇に貢献した外国人選手との契約を延長する方針を示している。
今季、著しい成長をみせたプレーヤーに送られる「最大成長賞」には、富邦の内野手、李宗賢が輝いた。104試合出場、117安打、打率.314(リーグ2位)、出塁率.378、長打率.424はいずれもキャリアハイ。昨年は新人年を除き、過去最少の出場試合と不振にあえいだが、球界を代表するイケメンが見事な復活を果たした。
鄭浩均は昨年、米独立リーグで小学校の大先輩、陽岱鋼とチームメートだった
新人王には、中信兄弟の昨年のドラフト1位、鄭浩均が選ばれた。鄭浩均は今季開幕からローテーション入りし、9勝5敗1セーブ、防御率3.02の好成績をあげた。大学時代の2019年にドジャースとマイナー契約。マイナー縮小の影響もあり、ルーキーリーグを経験したのみでリリースされたが、昨年は米独立リーグで小学校の大先輩、陽岱鋼とチームメートになりプロの姿勢を学んだ。海外リーグ経験者の新人王は初。闘志あふれるマウンド上の姿からは想像できないユニークな性格の持ち主で、表彰式にもロックスターのような服装とメイクで登場、周囲をあっと言わせた。
なお、今年、ベストナインとゴールデングラブのダブル受賞者は、MVP受賞、投手のギャノン、ファーストの范國宸(富邦)、セカンドの李凱威(味全)、ショートの江坤宇(中信兄弟)、外野手の陳傑憲(統一)の5人だった。
MVPの候補やベストナイン、台湾シリーズやアジアプロ野球チャンピオンシップで活躍した台湾人選手たちは、来年のプレミア12台湾代表の有力候補だ。国際大会は相手チームの選手を少しでも知っておくと楽しみがぐっと広がる。台湾プロ野球に関心を持たれた方は、まず、これらの看板選手からチェックしてみることをおすすめする。(情報は12月5日時点)
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)