イチロー氏、努力に注文「見返りを求める姿勢がダメ」 球児に伝えた勝利以上に大切なもの
宮古高を指導「努力してるかどうかは第三者が決めること」
マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は、16日から2日間にわたり沖縄・宮古高で野球部員たちを指導した。「野球に手品、マジックはない、とにかく積み重ねてモノにするしかない」と“継続”の大切さを説いた。
イチロー氏が指導した宮古高は春に8年ぶり沖縄大会準優勝を果たすと、夏の沖縄大会では準決勝で沖縄尚学に敗れたが、ベスト4に進出していた。宮古島という離島から目指す甲子園。「島全体の思いに応え、未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めた。
2日間の指導が終わると、イチロー氏は「終わりです。みんな体力あるね。想像していたよりも可能性はある。ポテンシャルが高い。体力もある」と選手たちを褒めた。そして、イチロー氏らしい言い回しで上達の秘訣を説いた。
「野球に手品、マジックはない、とにかく積み重ねてモノにするしかない。仮に簡単に手に入った自信、そんなのはね、人としての厚みや重みは出ない。時間をかけて苦労して習得することが大事。そういう所を目指してほしい」
目指しているのは、宮古島から初の甲子園。ただ、イチロー氏はそれ以外にも大切なことがあると説明した。「勝つことも大事だけど、もっと大事なことは、その後の人生もっと長いし、この野球部で経験した自信、悔しさ、やさしさ、色んな感情があると思うけど、その後の人生の支えになるような時間にしてほしい。楽しいだけじゃない。目標に向かって頑張る。頑張るって支えになるからさ。その上で悲願を達成してほしい」と願った。
イチロー氏は“努力”についても言及。「努力したら報われるって思ってる人は見返りを求めてる。これだけやったから、必ず報われるはずだ、その見返りを求める姿勢がダメ。努力してるかどうかは第三者が決めること」と話し、今後の宮古高ナインにエールを送った。
「自分でこんだけ努力してるって思ってるのは、たいしたことない。ここは大きなポイントです。努力はしないといけない、これは大前提。『自分は頑張ってる』という感触から抜け出さないといけない。そのきっかけにしてほしい、この2日間を。楽しみが増えた。しっかチェックするから」
日米4367安打を放ったレジェンドの言葉は宮古高野球部に響いた。離島で練習試合の機会は少ないが、それは言い訳に過ぎない。川満悠雅主将は「新鮮なことばかりでした。説得力がすごくあった」。イチロー氏の言葉を胸に、悲願を目指す。
(Full-Count編集部)