NPB復帰は「1万分の1にも満たない」 戦力外から2年…元ドラ1が理解する“厳しい現実”

元オリックス・吉田一将【写真:本人提供】
元オリックス・吉田一将【写真:本人提供】

来季からNPB2軍に参入する新潟でプレーする元オリックス・吉田一将投手

 来季からNPBのファーム戦に参入する「オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ」で、“3年目のシーズン”を迎える男がいる。2021年までオリックスでプレーした吉田一将投手。NPB復帰は「1万分の1にも満たない確率」と理解しながらも、現役を続ける理由とは――。

 吉田は2021年10月に戦力外通告を受け、翌年の2022年3月にBCリーグ・新潟に入団。NPB復帰を目指し同年は36試合に登板し1勝13セーブ、防御率2.48の成績を残したがオファーはなく、シーズン後の10月に退団した。それでも「後悔したくない」と再入団し、今季は直球の最速がオリックス時代の151キロに迫る149キロまで復活、38試合に登板した。

 当初は、今年で独立リーグでのプレーは終わりと決めていたが、シーズン途中にファーム参入の話が舞い込んできた。「球界初の試み、そこでプレーできることは貴重な経験。今後の人生を考えた時にも、初年度に携われることはなかなかないこと」。野球人、そして現役選手としての“引き出し”を広げるために、挑戦し続けることを決めた。

 もちろん、選手として万全の状態で挑むつもりだ。独立リーグとは違い、対戦相手はNPBの2軍がメインとなる。レベルは確実に上がり、生きのいい若手や調整中のベテランなどの“NPB戦士”と対峙できることは「僕だけじゃなく、周りの選手のモチベーションも高くなる。これまではいくら活躍しても『相手が独立だから……』と言われる選手たちも見てきた」と期待する。

プロを目指す“独立リーガー”の本気度「たかが1、2年。我慢できないなら難しい」

 一度でもNPB球団と契約したことがある元プロは、7月末までに移籍することが可能だが、アマチュア経由の選手は同年のドラフトに指名される必要がある。NPB入りの“順序”は独立リーグ時代と同じだが、スカウトへのアピールはより効果的になることが予想される。

 独立で過ごした2年間で感じたこともあるという。ドラフト指名されるため、生活の全てを野球に注ぐ選手もいれば、口だけは達者な選手もいる。トレーニング、食事、サプリメントなどの自己投資を行わず、練習も短時間で切り上げる姿に唖然とした。

「本気で(NPBを)目指して練習しても、たかが1、2年。それが我慢できないなら厳しい。本当にこれでいいのかな? と思うこともあった。NPBの2軍は試合が終わった後に個々で倒れるぐらい練習している。環境面は劣りますが、プロを目指すなら、そこに勝つぐらいの気持ちがないと絶対に無理」

 来季は35歳を迎えるシーズン。新規参入の新潟ではNPB経験者、ベテランとしてチームをまとめる役割も求められる。「まずはプレーヤーとして全力を尽くします。野球界がどのように動いていくかも、単純に楽しみ」。酸いも甘いも経験した“ドラ1右腕”はこれからもマウンドに立ち続ける。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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