元巨人勢が牽引したロッテ打線 2位躍進の裏に…37年ぶり本塁打王、存在感示した30歳

ロッテ・石川慎吾(左)とグレゴリー・ポランコ【写真:荒川祐史】
ロッテ・石川慎吾(左)とグレゴリー・ポランコ【写真:荒川祐史】

ポランコが26発で本塁打王…安田、山口、藤原らが出場を重ねた

 ロッテは今季、70勝68敗5分で2位に躍進した。打線ではブランドン・レアード内野手、レオネス・マーティン外野手が球団を離れ、その穴を埋める形でグレゴリー・ポランコ外野手を獲得。昨季137試合に出場した高部瑛斗外野手も怪我で離脱したが、岡大海外野手、藤原恭大外野手、角中勝也外野手らが出場試合数を伸ばし、打線を支えた。結果的にはチーム打率.239(リーグ4位)、100本塁打(同4位タイ)。四球数は昨季の433から453に、長打率も.342から.354と微増、昨季の95併殺から79併殺に減少と改善がみられた。一方でリーグワースト2位の83失策を記録。ポジションを固定できなかったことも影響し、ミスが目立った。

 今季のロッテで最も存在感を放ったのがポランコ。昨季は巨人で24本塁打を記録した助っ人が、26本塁打をマークした。5月末時点で打率.181、6本塁打20打点と苦しんでいたが、6月に月間打率.348を記録。8月に月間打率.294、8本塁打をマークし、2年連続20本塁打に到達した。9月以降に6本塁打を記録し、球団では1986年の落合博満氏以来となる本塁打王を獲得。自身初のベストナイン(指名打者)も受賞するなど、打率.242、26本塁打75打点と、新天地で期待に応えた。

 安田尚憲内野手、山口航輝外野手、藤原という期待の若手たちが、キャリアハイの出場試合数を記録した。安田は5月末時点で打率.282、5本塁打17打点。6月は月間打率1割台と数字を落とし、8月、9月は打率1割台、1本塁打と大不振に。最終的にはキャリアハイの122試合に出場、打率.238、9本塁打、43打点の成績でシーズンを終えた。昨季16本塁打を記録した山口は今季、自己最多の115試合出場で打率.235、14本塁打、57打点だった。4月末に左大腿二頭筋損傷で離脱。5月末に復帰すると、以降は出場を重ね、自身初の規定打席に到達した。藤原も自己最多の103試合に出場。打率.238、3本塁打、21打点、5盗塁だった。

 若手が出場を重ねる中、2人のベテラン外野手がチームを支えた。10年目の岡は109試合で打率.282、キャリアハイの7本塁打をマーク。自己最多の372打席に立った。出塁率.371、チーム2位の50得点と躍動。オフには国内FA権を行使せず3年契約での残留を決めている。17年目の角中は86試合で打率.296。8月は15試合で打率.419の大暴れ。9月以降も状態を維持してキャリアハイの9本塁打を放つなど、存在感を示した。14年目、38歳の荻野貴司外野手は怪我の影響で50試合出場に留まるも、8月以降は39試合に出場。打率.240、1盗塁に終わったが、年齢を感じさせないプレーを披露した。

巨人から途中加入の石川慎吾が存在感を示した

 今季途中にトレードで巨人から移籍してきた石川慎吾外野手はすぐに1軍昇格を果たすと、7月は12試合で打率.516。8月は打率.207と苦しんだが、9月以降は3割台の打率をマークした。左投手に対しては打率.373、対右投手も打率.313を記録するなど存在感を示した。ドラフト2位ルーキーの友杉篤輝内野手は7月には10試合で打率.417をマークするなど、藤岡裕大内野手と併用で遊撃手として出場を重ねた。8月以降は成績を落としたが、30歳は最終的には64試合で打率.254と一定の成績を残した。

 藤岡は出場数は93試合にとどまったが、キャリアハイの打率.277をマークした。リーグ7位タイの54四球を選び、出塁率.389。チームトップの88試合で遊撃のポジションを守った。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦では、10回裏に同点3ランを放ち、ファイナルステージ進出へ導いた。来季から背番号「7」を背負う。中村奨吾内野手がチーム最多の137試合出場も、規定最下位の打率.220だった。

 今季、最も多く捕手のポジションを守ったのは、4年目の佐藤都志也捕手だった。103試合中92試合で捕手のポジションを守り、盗塁阻止率はリーグ4位の.319をマークした。田村龍弘捕手は78試合、うち76試合で捕手のポジションに就いた。昨季は2試合出場だったが、今季は1軍に帯同。打率.166と打撃では苦しんだが、盗塁阻止率は佐藤都に次ぐ.300だったと、11年目のベテランがチームを支えた。

 今季は若手や新戦力の活躍が目立った。和田康士朗外野手も自己最多の113打席で、打率.265をマーク、現役ドラフトでは西武から愛斗外野手を獲得するなど、来季は外野争いの激化が予想される。内野では茶谷健太内野手が79試合で打率.284、池田来翔内野手は怪我で離脱したが、5月は打率.373をマークした。ドラフト1位の上田希由翔内野手も加わり、内野争いもおもしろくなりそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」東海林諒平)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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