中嶋監督に「交渉します」 沖縄で願う「4番・二塁」…大城滉二が絵馬に記した“本音”

オリックス・大城滉二【写真:北野正樹】
オリックス・大城滉二【写真:北野正樹】

オリックス・大城滉二が絵馬に託した、故郷への願い

 2度あることは3度ある。オリックスの大城滉二内野手は、2021年から2年連続で春季キャンプ地、宮崎市内の神社に奉納した絵馬へ記した願意が叶った。3年連続の成就を願う今季は、故郷・沖縄で開催される公式戦で「4番・二塁」での先発出場を祈願する。

 今年5月14、15日にセルラースタジアム那覇で行われるロッテ戦。オリックスとしては2016年以来、8年ぶりの沖縄で開催する主催試合でのスタメンを目標に、オフの自主トレで懸命に汗を流してきた。「日程を見た瞬間に『よっしゃー!』っていう感じでした。もう、そこだけにしか集中していません。その日が終わったらシーズンが終わるくらいの気持ちです(笑)」。故郷で躍動する姿を、家族や友人に披露したいところだ。

 大城にとって、大きな意味を持つ2試合となる。興南高では、遊撃手として甲子園で春夏連覇、立教大では1年春の途中から定位置をつかみ、通算112安打を放って、同大学の歴代最多安打を記録した。

 昨年秋のドラフトで育成3位で指名され入団した宜野湾市出身の宮國凌空(りく)投手(東邦高)は「甲子園で春夏連覇されていますし、大学でも安打記録を作られるなど、スーパースターです」と“レジェンド大城”を証言する。

 8年前の楽天戦は、パ・リーグ公式戦として沖縄で54年ぶりに開催された。当時、新人だった大城は「1番・中堅」で先発出場。3回1死一、三塁から左犠飛を放って先制点を挙げ、勝利投手になった西勇輝投手(現・阪神)とともにヒーローインタビューを受け、スタンドを沸かせた。

 思い出に浸りながら「プロ1年目に試合があって、それからはずっと(沖縄で試合が)なかったので。やっぱり、3連覇をしたので、やっと(沖縄に)呼ばれたという感じですね(笑)」と凱旋試合の実現を喜んだ。

「4打数4安打、ホームランを(4本)打って暴れたいと思います。監督も間違って『4番』とかで僕を使わないですかね。交渉してみます、監督に(笑)」と、冗談を交えながらも気持ちは本気モードに切り替わっている。

オリックス・大城滉二【写真:北野正樹】
オリックス・大城滉二【写真:北野正樹】

「宮城が先発して、宜保ちゃんと僕が二遊間を守れたら引退してもいい」

 力強い味方もいる。宮崎市での春季キャンプで球団幹部や中嶋聡監督らが参拝する「小戸(おど)神社」の存在だ。監督、コーチ、選手全員が絵馬に願いを託して奉納するのだが、大城は2022年に「ビールかけしたい」、2023年には「優勝旅行行きたい」と記していた。

 2021年はコロナ禍のため、25年ぶりのリーグ優勝を果たしても、球団の方針で歓喜のビールかけは自粛となり、ハワイへの優勝旅行もお預けに。2022年はビールかけを実現させ、2023年は3連覇で優勝旅行も叶えたのだった。

 ハワイでは、妻の早紀さんが選手や裏方さんらスタッフ家族らとの優勝旅行に大感激。「『また一緒に来たいから、これまで以上にチームを応援する』と言ってました。食事面でサポートしてくれていますし、僕の休める家庭を作ってくれていますから、喜んでくれてうれしかったですね」と、成就を喜ぶ。

「2年連続して実現しましたから。今年は『沖縄で4番・二塁』と書きますわ(笑)。(沖縄出身の)宮城(大弥)が先発して、宜保(翔)ちゃんと僕が二遊間を守れたら(悔いなく)引退してもいい」と目を細めて宣言するほどの「沖縄愛」を誇る。3度目の成就が、待ち遠しい春だ。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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