昨年NGの“由伸投法”は「悪いことじゃない」 専門家は賛成…中日21歳に見えた「本気」

中日・高橋宏斗【写真:荒川祐史】
中日・高橋宏斗【写真:荒川祐史】

五十嵐亮太氏が注目した、中日・高橋宏斗の新フォーム

 中日の高橋宏斗投手から感じる決意――。ヤクルトで守護神を務め、メジャーを経てソフトバンクでセットアッパーとして活躍した野球評論家の五十嵐亮太氏が、沖縄・北谷で行われている中日の春季キャンプを視察した。日米で23年に渡るプロ生活を経験した五十嵐氏が注目したのが、高橋の「投げ方」だった。

「見ていて面白かったのが、やっぱり、高橋宏斗投手ですね。ドジャースに移籍した山本由伸投手に近いような投球フォームになっていたんです。フォームを変えるというのは、多少リスクがある。ただ、去年もフォーム改造に“挑戦”していたので今回は2回目です。今年はスッと決まった時のボールが物凄かった。20球くらいしか投げていない今の時期に148キロを連発していました」

 高橋宏は3年目の昨季、25試合に登板して7勝11敗、防御率2.53の成績を残した。今季はエース候補にも名乗りを上げる21歳の新フォーム挑戦に「ちょっとシュート回転するボールがあったんですけど、今回は投球フォームを自分のものにしつつある。キャンプ序盤でこういった状態なので、自分のフォームにするのも、そんなに時間がかからないような感じがします」と太鼓判を押す。

 さらに五十嵐氏は「去年とは『また違う高橋宏斗』が見られるような感じがします」と期待を込める。「本当にもう、足を上げないクイック(投法)でやってるので。去年は結局、自分の(元の)フォームに戻したんですけど、今年は本当に足を上げない、山本くんに似たような感じの動きでした。腕の使い方も近いような感じ。あれは試してる段階じゃないです。本気で挑戦していましたね。あのフォームで『今年は投げる』という決意が伝わってきました」。

五十嵐氏「足を上げないことが悪いことじゃない」

 日米通算906試合に登板し、70勝41敗70セーブを記録した五十嵐氏。高橋宏の挑戦する“新フォーム”について「無駄なものを省いて、シンプルに動作を削った結果、ああいう投球フォームになると思います」と説明する。

「足を上げないことが悪いことじゃない。僕も現役の頃、クイック(投法)で投げていたので。投げるタイミングが取りやすいのかもしれないです。体のブレが少なくなるんですよね。ブレが少なくなるからリリースが安定する分、コントロールが良くなる。とはいえ、高橋投手の場合、ボールの威力が落ちるかと言われれば、そういうわけでもない。昔、朝倉健太投手がそういうフォームで投げていたので『自分に合えば良い』のかなと思いますね」

 今回の挑戦は続くと予想する。「今中臨時投手コーチが『やるからには、ちゃんとしたストレートを投げ込めるようにしましょう』と話していました。よっぽどシュート回転が強いとか、コントロールがうまくできないとかになってくると、元のフォームに近い形に戻すかもしれないですけど、今回は投球フォームを固めていこうとしてる感じですね。コンパクトにどんどん投げ込めるような気がします」。2年連続最下位に沈んだチームに、明るい兆しが生まれている。

(Full-Count編集部)

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