「今年しかない」西武24歳が抱く危機感 残るは1枠か…激戦区で目指す生き残り
「外野は横一線だと思っています」
西武の宮崎・南郷キャンプは9日に第1クールを終えた。ファンの関心事の1つでもある外野手争いは、特に中堅をめぐって7年目の西川愛也と、今季から外野手登録となった長谷川信哉のアピール合戦が続いている。
「西川と長谷川が頑張っていますよね。ただ、他にもB班に金子や若林もいますから。高いレベルで争ってほしいですね」。赤田将吾外野手守備走塁コーチが期待を寄せた。
長谷川は「バッティングでアピールしないとレギュラーに近づけない。外野は横一線だと思っています。なんとか頭ひとつ、ふたつ抜け出せられるように。キャンプでしっかり取り組んで、オープン戦、シーズンにしっかり結果を出せるように準備したいです」と話す。
オフは2年連続で巨人の坂本勇人内野手の自主トレに参加した。「(坂本の)右足の使い方が理想です。なかなか前にいかないところは大事なのかなというのがある。前にいかなければ、ボールとの距離を取れて長く見ることができます。しっかりアプローチしていきたい」。
昨季は日本ハムの守護神・田中正義投手から同点となるプロ1号。中日戦での2号は代打サヨナラと衝撃的な一発を放つも、シーズンで打率.222、4本塁打、12打点。4年目を迎えた21歳は飛躍を目指す。
中村晃からの教えは「超シンプル」
一方の西川は181センチ、87キロの恵まれた体格と打撃センスが魅力。昨季はキャリアハイの41試合に出場したが「もう7年目だし、周りの若手よりチャンスは少ないと思っています。少ないチャンスで1発目から掴んで、離さないように。レギュラーに定着できるようにやっていきたい」と強い決意を口にした。
このオフは初めてソフトバンクの中村晃外野手の自主トレに参加した。「いい打者ほど考えがシンプルだと思いました。晃さんも超シンプルで、打撃練習はバックスクリーンに全部打つ。どこのコースに来ても、そこに向かって強く振ると話していました」。
中村晃の教えは西川の打撃に変化をもたらしているという。「シンプルだけど難しい。今はバックスクリーンを意識して練習しています。僕はどうしてもが打ちに行く時に上半身が連動するのが遅れていたけど、今は打つ前に準備ができて素直にバットが出ている」と手応えを感じている。
西武が昨年のドラフトで獲得した支配下選手7人のうち6人が投手。残る1人も内野手だった。「今いる戦力で無理だったら来年はないぞという意味合いだと思っています。今年しかないと思っています。危機感? もちろん、ありますね」。
現時点で右翼の定位置は2年目の蛭間拓哉外野手、左翼は新加入のフランチー・コルデロ外野手が有力視されている。「坂本塾」で鍛えた長谷川、「中村晃塾」で学んだ西川を筆頭に展開される激しいポジション争いが、チームの底上げにつながる。
(湯浅大 / Dai Yuasa)