135試合出場→無安打「少しのズレがどんどん」 レギュラー白紙…背水の陣で挑む巨人29歳

巨人・松原聖弥【写真:宮脇広久】
巨人・松原聖弥【写真:宮脇広久】

2021年に規定打席をクリアし打率.274、育成出身最多タイ記録の12本塁打も

 巨人は宮崎での1次キャンプを終え、16日から沖縄・那覇市で2次キャンプに突入する。“復活”を期してアピールを続けているのが、松原聖弥外野手だ。1月26日に29歳となり、勝負の年を迎えている。

 宮崎1次キャンプ最終日の14日。松原は阿部慎之助監督に直接指導を受けながらティー打撃に取り組んでいた。「振り終わりの形、下半身の使い方を再確認しました。今日は振っていて感じがあまりよくなかったので、自分の方から監督に聞きに行って、すり合わせた感じです」と明かす。「疲れもあると思いますが、(阿部監督と見解が)一致したので、すっきりして終われました。課題は明確になりつつあります」とうなずいた。

 2021年には、135試合に出場して規定打席をクリアし打率.274、37打点15盗塁。育成出身ではソフトバンク・甲斐拓也捕手と並ぶシーズン最多記録の12本塁打もマークし、一躍“育成の星”となった。オフには、同年限りで現役を引退した亀井善行外野手(現・1軍外野守備兼走塁コーチ)の背番号「9」を継承。レギュラーの座を固めたかに見えた。

 しかし翌2022年、グレゴリー・ポランコ外野手(現ロッテ)、アダム・ウォーカー外野手(現ソフトバンク)の加入などで競争が激化。自身も打撃の調子を崩し、わずか50試合出場で打率.113、0本塁打4打点2盗塁。背番号はわずか1年で「59」に変わった。昨年はさらに低迷し、21試合出場でヒットは1本も打てなかった。「少しのズレが、どんどん違う方向へ行ってしまった感じです」と振り返る。

 昨季の成績を考えれば、2年ぶりのキャンプ1軍スタートは“抜擢”と言えるかもしれない。7日に行われた実戦形式のシート打撃では、1打席目に一塁線を破る二塁打を放つなど、3打数2安打。阿部監督を「1日で忘れちゃうから、明日も見ときますよ。忘れていたら言おうと思います」と笑顔にさせた。今のところ上々のキャンプを送っているが、松原は「いや、気は抜けません。シーズンが終わるまで気は抜けません」と語気を強める。

ドラ3ルーキーも台頭、1軍外野レギュラーは白紙「気負わず頑張ります」

 巨人の外野の3つのポジションは、レギュラーが白紙の状態。もちろん松原にもチャンスはある。阿部監督も「だからこそ1軍にいるのだろうし」とうなずく。21歳の期待株・秋広優人内野手の外野専念が見込まれ、ドラフト3位ルーキー・佐々木俊輔外野手が台頭、メジャー通算178本塁打を誇る新外国人ルーグネット・オドーア外野手の獲得が発表されるなど、競争はますます激しいが、「そこは毎年のことなので、気負わず頑張ります」と松原に臆するところはない。

 わずか1年で剥奪された形の背番号「9」は、いまだ空き番。松原は「それほと意識はしませんが、また付けられたら、うれしいですね。結果を求めて、それで背番号が付いてくれば最高だと思います」と笑みを浮かべる。

 背番号「9」の先輩である亀井外野守備兼走塁コーチは、松原について「いいアピールをしています。いい苦労をしたのではないかと思うので、それを今年にぶつけてもらえれば」と目を細める。「もともと走攻守そろった選手。守備はいいし、足も速い。あとは打撃次第。そこは僕の管轄ではありませんが、いいものを見せてくれれば1軍に入ってくるでしょう」と評し、「勝負の年ではないですかね」と鼓舞するように言う。

 背水の陣を敷いての戦いが続く。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY