報道陣に「みなさんもお仕事ですし」 開幕前に求められる結果…山川穂高の“本音”

紅白戦に出場したソフトバンク・山川穂高【写真:竹村岳】
紅白戦に出場したソフトバンク・山川穂高【写真:竹村岳】

紅白戦でいきなり2安打1打点「いいスイングができればいい結果は出る」

 経験してみないとわからない領域に、今年も飛び込んでいった。ソフトバンクは17日、宮崎市生目の杜運動公園で行っている春季キャンプで第4クール3日目を迎えた。紅白戦を行い、山川穂高内野手が白組の「4番・指名打者」で出場して2安打1打点の活躍を見せた。通算218発のスラッガーは、投手との対戦を「空間」だと表現する。

 まずは初回2死三塁で打席に入る。右腕の杉山一樹投手から冷静に四球を選んだ。2点ビハインドの4回先頭で2打席目を迎え、マウンドには左腕の松本晴投手。強烈なライナーは左中間を一気に破っていき、二塁打。この回、6点を奪う逆転劇を見せ、第3打席でも中前への適時打を放った。「いいタイミングの取り方をして、いいスイングができればいい結果が出ると思っている」と頷いて振り返る。

 今キャンプでは初めての実戦形式となった。確認したかったところを問われると「投手との間合いと言いますか、投手と対峙しないと味わえないような“空間”みたいなところですね。フリー打撃ではできないことなので、それが一番大事かなと思った」と言う。プロ11年目、どれだけキャリアを積んでも「何年経っても、その年その年であります」。打撃投手やマシンの球を打ち返すフリー打撃とは、明確に違った緊張感と、必要なルーティンがある。

「打席に入るリズムがある。今日は最初はDHでしたけど、守備を守ってすぐの先頭打者だったり、ネクストから入っていくところとか、その時のルーティンもありますし。そこの確認は試合じゃないとできないですから」

2018年はオープン戦で打率.136「バットの握り方も構え方も忘れた」

 試合なら、どんな状況で打席が回ってくるのかもわからない。投手との1対1の空間で結果を出すためのルーティンや準備は、試合でなければ体感はできない。だから打撃練習からシート打撃、紅白戦と緊張感も集中力も少しずつ鋭くなっていく。特に山川が「まるで違う」と語るのが、チームの勝敗がかかったペナントレースだ。

「オープン戦と紅白戦は一緒くらいです。ただオープン戦と、シーズンはまるで違います。みなさん(報道陣)もお仕事ですし、オープン戦の結果を言うと思いますけど、我々は『あんまり良すぎても……』って言うのは正直あります。めちゃくちゃ打った年、シーズンで『うーん……』っていうのもありましたし、逆も然りで。オープン戦で30打数ノーヒットとかだったこともあります」

 山川が振り返るのは2018年、オープン戦では打率.136と絶不調に陥ってしまう。「バットの握り方、構え方も忘れて『どうだったっけ』っていうところから開幕した」。しかし、シーズンが始まれば3月&4月で11本塁打を放ち、月間MVPを獲得した。練習と試合は別物であり、オープン戦とレギュラーシーズンはもっと別物。「オープン戦とシーズンは一概には比例しないです」とスラッガーとしての地位をどれだけ築こうとも、投手との対戦からは得るものばかりだ。

 昨年5月に強制性交等の疑いで書類送検され、8月には不起訴処分となった。10月の「みやざきフェニックス・リーグ」には出場していたものの、昨シーズンは17試合出場。大きく実戦出場の間隔が空いてしまっていたが「オフになったらどのみち2か月、3か月は空きます。結果は人がいることですけど、タイミングを合わせさえすれば(結果から)遠ざかることはないのかなと思います」と語る。対戦しないとわからない投手との“空間”ではあるが、意識すべきことはもう心身に染み込んでいるから、すぐに結果が出せた。

「もちろん結果は出したいですけど、あまりそこに左右されずぎて当てに行ってまで結果を出すことよりは、自分のスイングを確立していきたいです」。快音を響かせて、スタンドからは大きな拍手も生まれていた。開幕までに最善の準備をして、レギュラーシーズンでチームの力になっていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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