かつてのエースより上…岡田監督が絶賛した19歳 「打者が一番嫌がる」阪神OBが見た能力

阪神・門別啓人【写真:小林靖】
阪神・門別啓人【写真:小林靖】

先発ローテ入りが期待される高卒2年目左腕・門別啓人

 球団史上初のリーグ連覇、連続日本一を狙う阪神に評価急上昇のホープがいる。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が沖縄・宜野座キャンプを視察。強力投手陣が揃う中、先発ローテーションを争う門別啓人投手を分析した。

 初の1軍キャンプでも堂々とした姿を見せているのが、高卒2年目左腕の門別だ。最速151キロの直球を武器に今年初の対外試合となった17日・楽天戦では3回2安打無失点の好投を見せるなど、先発ローテ候補として大きな期待を受けている。

 疲労がピークを迎えるキャンプ第4クール最終日。左腕のブルペン投球を見守った野口氏は「昨年に比べても出力が上がっている。真っすぐのスピードはもちろんだが、球の質、キレが素晴らしい。昨秋から岡田監督が評価するはず」と、目を細める。

 ルーキーイヤーの昨季に1軍デビュー(2試合)を飾ったが、まだまだ1軍未勝利の弱冠19歳。投げるたび評価を上げ、首脳陣から絶賛される理由はどこにあるのか。野口氏は全く変わらない投球フォームに注目した。

「変化球を投げるときにもフォームの差がほとんどない。剛球投手にありがちなのは変化球で腕が弱まること。高卒2年目でそれができるのは中々いない。打者が一番嫌がる部分。投手として長く活躍するには必要な部分だと思います」

岡田監督がブルペンで何度もうなずく「向かっていく姿勢もええ」

 現役時代の恩師・岡田彰布監督とブルペンで交わした“野球談義”でも門別の名前が出てきたという。心地よいミット音を響かせる姿に何度もうなずく姿があった。

「岡田監督は投球以外にもフィールディング、牽制についても『なんも問題ない』と評価していた。真っすぐで押していくスタイルにも『最近は困ったらすぐに変化球に逃げる投手もいるが、それがない。向かっていく姿勢もええ』と褒めていました。同じ左腕の先輩でもある井川(慶)と比べられることもありますが『井川の2年目は1イニング、ワンポイントぐらいしか使えんかったよ』と。それが門別は今、先発ローテを争っている。それが全てでしょう」

 順調にキャンプを消化しているだけに「一番、怖いのは怪我だけ。まだ2年目なので無理をする必要はない」と、過度な期待は禁物としながらも「あの実戦、ブルペンを見せられると使いたくなる」と野口氏。癖のない投球フォームで、怪我のリスクも低いと見ており「ゆったりしたフォームから球はピュッとくる。そのギャップもいい投手の要素」と指摘する。

 開幕ローテ入りに向け、今後はオープン戦などで結果を残すことが求められるが「制球力もあり自滅する姿は想像しにくい。現時点で高卒2年目の投手が、これだけの期待に応えられている。岡田監督も言われてましたが、楽しみでしかない」。無限の可能性を秘める19歳。その、成長スピードはとどまるところを知らない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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