覚醒の予感…阪神の逸材20歳をOB大絶賛 「振りの鋭さは一番」技あり弾で示した“成長”

阪神・前川右京【写真:小林靖】
阪神・前川右京【写真:小林靖】

前川はサムスンとの練習試合に「8番・左翼」で出場し右翼へ先制2ラン

 阪神は20日、春季キャンプ地(バイトするならエントリー宜野座スタジアム)でサムスンと練習試合を行い2-0で勝利した。「8番・左翼」でスタメン出場した前川右京外野手が先制2ランを放ち猛アピール。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「若手の争いの中では一歩リードしている」と評価した。

 期待のスラッガーが最高の結果を残した。両チーム無得点で迎えた2回2死三塁。サムスン先発のイ・ホソンが投じた134キロのチェンジアップを捉えると、打球は右翼スタンド後方のネットに突き刺さる先制2ラン。やや体勢を崩されながらも完璧に仕留めた一発に野口氏は「しっかり自分のスイングができている。振りの鋭さは一番いい」と評価した。

 高卒2年目の昨季は、5月に1軍デビューを果たすと33試合に出場し打率.255、7打点をマーク。一時は3番を務め得点圏打率.409と勝負強さも発揮し経験を積んだ。入団当初からスイングの鋭さに定評があったが、3年目を迎えた今年は更なる成長が見て取れたという。

「昨年は少し上からボールを潰していくイメージのスイング。だが、この試合を含め打球が上がるようになってきた。ボールの下を叩けるようになり、バックスピンをかける。一発を打った打撃でも変化球に泳がされながらも、うまくバットに乗せていた。どちらかというと中距離打者だが、大きく育っていく可能性を感じる打席でした」

課題は怪我と体調面「本当の強さを手に入れればある程度の数字は残せる」

 岡田監督は外野のレギュラーについては中堅の近本以外は確約していない。両翼を別メニュー調整中のノイジー、ミエセス、森下、野口、井上らを競わせる方針。前川は昨季、右翼での出場がメインだが、今キャンプでは左翼の守備にも就いている。

 気になる両翼争いに野口氏は「ノイジーがいない現時点での段階」と前置きしながら「トータル的なものを考えると右翼が森下、左翼は前川が一歩リードしている」と分析。長打力だけを考えると野口、井上にポテンシャルを感じるが「タイミングの取り方などを含めると前川。これからは1軍クラスの投手にどう対応できるかが大事になってくる。昨年の経験が生きている」と口にする。

 唯一の不安材料は体の強さと体調管理。ルーキーイヤーの2022年はウエスタン・リーグ開幕直後に背中の張りで離脱。昨年も1軍キャンプ直前に上半身のコンディション不良で戦列を離れ、交流戦で1軍デビューを果たし好調が続く中、怪我で離脱と課題は明確だ。

「彼の最大の敵は怪我と体調面。まだ、3年目だが、本当の強さを手に入れればある程度の数字は残せる。入団当初は投げる方に不安を感じたが、今はかなり改善されている」と野口氏。

 今後も練習試合、オープン戦で結果が求めれることになるが「あとは内角の強い球にどれだけ対応できるか」と期待を込める。高卒3年目のホープが定位置奪取に向け突き進んでいく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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