覚悟した戦力外「そりゃそうか」 12勝で優勝貢献も…引退よぎる元ドラ1を支えた言葉

キャンプで汗を流す広島・岡田明丈【写真:真田一平】
キャンプで汗を流す広島・岡田明丈【写真:真田一平】

昨年10月に戦力外通告を受けた広島・岡田明丈「勝負できていなかった」

 かつての剛球を取り戻そうと必死に腕を振る姿が印象的だった。広島から戦力外通告を受け、今季から育成契約となった岡田明丈投手。宮崎・日南キャンプでは「投げられるところをしっかりアピールしていきたい」と若手に混じって黙々と練習をこなしている。

 昨年の10月、ペナントレース終了直後に戦力外通告を受けた。「もちろん悔しさもありましたが、手術以降、納得のいく球を投げられず打者と勝負できていなかったので、“そりゃそうか……まぁしゃあない”という気持ちでした」と振り返る。

 岡田は大商大から2015年ドラフト1位で入団。2017年に自身初の2桁となる12勝を挙げてリーグ連覇に貢献。しかし2019年に3試合に登板して以降は2軍生活が続き、2021年には右肘のトミー・ジョン手術を受けた。

 セ・リーグの強打者を苦しめた力強い剛球は影をひそめた。手術をして投げられる状態になっても出番に恵まれず、2軍の若手投手がマウンドで躍動する姿を見守る日々が続いた。「昔のような球を投げられなかったので、ずっともどかしい気持ちでした」と首脳陣に復活をアピールすることができず、戦力外通告を言い渡された。

キャンプで汗を流す広島・岡田明丈【写真:真田一平】
キャンプで汗を流す広島・岡田明丈【写真:真田一平】

現役を続けることへの不安を断ち切った声「背中を押された」

 球団から育成契約を打診されたものの、岡田の胸には“迷い”があり即答はできなかった。現役を続けるか、引退して新たな道を歩むか……迷いを払拭したのは、これまで岡田の成長を見守り続け、右腕が持つポテンシャルの高さを知っている周囲の人達の言葉だった。

「これまでお世話になった方々に報告した際、『まだできるよ。続けてみたら』と言ってくださる人が多かったんです。その言葉に背中を押されて、もう一度ゼロから勝負してみようという気持ちになりました」

 プロ入りからつけていた17番はドラフト1位の新人・常廣羽也斗投手に譲り、今季からは123番でプレーする。「気に入っています。語呂じゃないですが、123って数字の並び的にいいじゃないですか」と笑顔を見せる。ゼロからの再出発、ステップを上がっていく自身の姿を背番号に重ね合わせているのかもしれない。

「試合で投げて結果を残していくこと、それが全てですね。もう不安なく腕を振れるようになっているので、とにかくやるしかないです」と前を向く。目指すのは2019年以来となる1軍マウンド。今年でプロ9年目、覚悟を決めたかつてのドラ1は、2桁の背番号を取り戻すためガムシャラに結果を追い求めていく。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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