古巣のニュースに「自分がいないのが不思議」 1軍出場ゼロで現役ドラフト…明かす現実
鷹からハムへ…水谷は「まだ正直、移籍したという実感は湧いていない」
昨年12月に行われた第2回現役ドラフトで、水谷瞬外野手はソフトバンクから日本ハムに移籍した。1軍未出場の22歳は、今春のキャンプ中盤から1軍に昇格して必死にアピールする日々。「まだ正直、移籍したという大きい実感は湧いていない」というものの、新天地での再出発に並々ならぬ意欲を燃やしている。
テレビでキャンプのニュースを見ると「ホークスのところに自分がいないのが不思議な感じ」とまだ戸惑いはある。それでも「緊張感はあるんですけど、みんな声も掛けてくれますし、少しずつやりやすい雰囲気になってきています」と徐々にチームに溶け込み、ミドルネームからついた愛称「ジェッシー」も定着しつつある。
石見智翠館高から2018年ドラフト5位で入団も、ぶ厚い選手層に阻まれ1軍デビューを果たせなかった。そんな中で、現役ドラフトで指名された。「僕にとっては、この現役ドラフトというチャンスをいただける立場でもないと思っていました。選手間で冗談半分で『あるんちゃう?』みたいなのはありましたけど、実際に上(1軍)でやっているけど人数の関係で出場機会に恵まれていないとか、そういう人が移籍するものだと思っていたので。僕はほかの球団に対するアピール材料がないと思っていました」と本音を明かす。
それでも、新たな働き場を得た。だからこそ「ホークスに現役ドラフトのチャンスをいただいて、なおかつファイターズに獲っていただいた。両球団からチャンスをいただいたので、プラスに受け止めました」と前を向いた。
同学年の万波から刺激「いっぱい盗まないといけないところがある」
同じ外野には、昨季本塁打王を争うほどブレークした同学年の万波中正外野手がいる。「中学時代からテレビに出ていて存在は知っていましたから。それがこういうご縁で一緒の球団になって、あれだけ結果が出ているということはいっぱい盗まないといけないところがあると思うので、競いながらも参考にしてやっていければ」と刺激的な存在となっている。
「一から出直してやっていく中で、いきなりチームの優勝に貢献するとかそんなことは言えないし、言っている暇はない。『ソフトバンクから現役ドラフトで来た水谷』ではなく『ファイターズの水谷』と思ってもらえるようにやっていきたいです。ここまで来られたのもホークスでやらせていただいたことが大きいので、結果で恩返しじゃないですけど、めちゃくちゃ悪い言葉になっちゃいますが『ざまあみろ』って言えるような仕事をしないといけないと思っています」
193センチ、99キロの恵まれた体格で高い身体能力を誇る。昨季は2軍で自己最多の83試合に出場し、ともにキャリア最多の60安打、35打点をマーク。4日の紅白戦では逆方向に一発を放ち、新庄剛志監督も思わず万歳した。ポテンシャル抜群の俊足強打の大型外野手は、新天地で覚醒のときを迎えるのだろうか。
(町田利衣 / Rie Machida)