中日・根尾は「少し完璧を求めすぎている」 野手投げ脱却も…求められる“遊び心”

ブルペンで投げ込む中日・根尾昂【写真:橋本健吾】
ブルペンで投げ込む中日・根尾昂【写真:橋本健吾】

プロ6年目、投手3年目に突入した根尾、今キャンプでは順調な仕上がりを見せる

 チーム、ファンから大きな期待を寄せられている中日・根尾昂投手が順調に1軍キャンプを完走した。実戦でも結果を残す右腕は開幕1軍を手にすることができるのか。投手3年目を迎えた根尾の“現在地”を現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏が分析した。

 野手から投手に転向した根尾は、ブルペンで充実した表情を見せていた。安定した投球フォームから繰り出される直球、変化球に野口氏は「力強く良い真っすぐを投げている。気持ちが入り表情も明るい。転向当初は野手投げとも言われていたが、今は本物の投手になっている」と評価する。

 根尾は遊撃手として入団するも2022年途中から投手に転向。同年は主に中継ぎとして25登板で0勝0敗1ホールド、防御率3.41の成績を残すと、昨季は2試合に先発し0勝0敗ながら防御率0.71と一定の成果を示した。今キャンプでも17日・DeNAとの練習試合では最速154キロの直球を軸に3回完全投球で猛アピールしている。

 先発ローテーション入りを期待する声もあるが、そう簡単にはいかない。チームは前年最下位ながら防御率はリーグ2位の3.08と強力投手陣は健在。先発陣を見ても小笠原、柳、高橋宏、涌井を筆頭に、怪我から復活が期待される大野、梅津、メヒアら錚々たる顔ぶれが並ぶ。

小笠原、柳、高橋宏ら錚々たる先発陣「OP戦などで飛びぬけた成績が必要」

 現在、根尾は先発1本で調整を続けているだけに「OP戦などで飛びぬけた成績を残すか、主力にケガ人が出ない限り厳しい。根尾が悪いのではなく、中日は先発投手のレベルが高い」と指摘。投球フォームを見ても「変化球で腕が弱まるところもない。順調に階段は上がっています」と口にする。

 ただ、一方でブルペン投球を見て気になった点もあるという。自身の投球の1球1球に“注文”をつける高い意識。「細かく狙いをつけるのはいいが、少し完璧を求めすぎている。コーナーギリギリを狙うのはいいが、それを試合で全て出せるかといえば違う。いい意味で“抜きどころ”も必要なのではないでしょうか」と野口氏は指摘する。

 まだ、粗削りで成長段階の投手で、能力の高さは誰もが認めるところ。真面目すぎる性格さゆえ「そういった部分が投球に出ているかもしれない」とし、「ちょっとした息抜きは必要。全て100%でいくことはできない。投球にも遊び心を持つことができれば」。

 今年でプロ6年目。マウンドに立てば一番の歓声を浴びるスター候補の伸びしろは「まだまだある」と断言する。レベルの高い投手陣のなかで揉まれ、背番号「7」は一歩、一歩階段を上がっていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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