最速156キロ誇る逸材でも「正直しんどい」 23歳育成に渦巻く投手王国ゆえの苦悩

オリックス・才木海翔【写真:北野正樹】
オリックス・才木海翔【写真:北野正樹】

オリックス・才木「やり切るしかない。勝負の1年です」

 伸びしろ十分な23歳が、また現れた。オリックスの育成・才木海翔投手は、最速156キロを誇る本格派右腕だ。今オフに球団から派遣された台湾でのウインターリーグでは10試合に登板して、防御率0.00をキープ。計10イニングで15奪三振の快投を見せ、5セーブをマークした。

「(新人年の)去年は何も考えずでした。(必死で)いろいろ考えられる時間がなかった。(ウインターリーグから)そんなに期間が空いているわけではないので、体がなまっているわけではありません。悪い場所もないので、いつも通りを心掛けています」

 才木は2022年育成ドラフト2位で大阪経済大からオリックスに入団。今季が大卒2年目のシーズンとなる。「去年の最後に作れたイメージを崩したくないですね。やり切るしかない。勝負の1年です」。髪を刈り上げ、気合十分な23歳だ。

 4連覇&日本一奪還を目指すチームは、エースの山本由伸投手、山崎福也投手が抜けても“盤石”な戦力が整う。早期の支配下選手登録を狙う才木は「エグいですよ……。正直、しんどいなというのはあります」と胸中を明かす。

 宮崎春季キャンプでは、キャッチボールから気が抜けない。2月中旬、練習中のキャッチボールで左隣に山崎颯一郎投手、右隣には吉田輝星投手がいた。「横に吉田(輝星)や颯一郎さんがいる。そもそも、エグいボールを投げている。(軌道など)エグいしか思わないですね。基本的に全員がエグいので、よくわかんないです……」。少し困惑しながらも、自身を奮い立たせる。

「でも、周りの投手がすごいので、その分、自分もエグい投手になれる可能性は高くなるのかなと思っています。知らないうちに自分のレベルも上げてくれている。みんなが鼓舞してくれています」

 瞳に宿る魂は、メラメラ燃えていた。

(真柴健 / Ken Mashiba)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY