大谷翔平「ジャクソンくん元気?」 元相棒とグータッチ…数秒の再会にあった“秘話”
元エ軍スタッシーの長男は未熟児として誕生、大谷は赤ちゃんグッズを贈ってサポート
ドジャース・大谷翔平投手の「声がけ」が何より嬉しかった。米アリゾナ州グレンデールで27日(日本時間28日)に行われたオープン戦。ホワイトソックスのマックス・スタッシー捕手は、移籍後初打席を迎えた大谷から声をかけられた。
「ジャクソンくん元気?」
「調子はいいよ。気を使ってくれてありがとう」
地鳴りのような歓声が響く中、昨季までエンゼルスで同僚だった2人はグータッチを交わす。「短い会話だった。今はピッチクロック(投球間の時間制限)があるからね」。たった数秒の出来事だった。それでも、1児のパパになったスタッシーにとっては、その気遣いが心に響いた。
昨年4月16日。スタッシーの第1子ジャクソンくんが、約680グラムの未熟児として生まれた。予定より3か月早い誕生。32歳は「家族の深刻な健康上の問題」を理由にシーズン全休を決めた。
肺炎、血液感染症、脳出血、肋骨のひび割れ、骨の病気……。数多くの困難に見舞われ、新生児集中治療室に入るジャクソンくんに付き添う日々だった。妻のガブリエルさんと不安な生活を送る中、シカゴの自宅に大谷と水原一平通訳から荷物が送られてきた。ジャクソンくん用の赤ちゃんグッズだった。
「人との接し方は才能と同じぐらい素晴らしいんだ」
「イッペイを通じて話していたんだけど、2人でベビー用品をプレゼントとして贈ってくれたんだ。本当に思いやりが強い人たちだ。多くの人はショウヘイの人柄を知らない。チームメート思いの素晴らしい人間なんだ。人との接し方は、才能と同じくらい素晴らしいんだ」
27日(同28日)の再会は、エンゼルスで同僚だった昨年のスプリングトレーニング以来1年ぶりだった。お互い違うユニホームを着ることになったが、2019年途中からバッテリーを組んできたことは、野球人生の財産になっている。
「気持ちが高ぶりすぎたり、低すぎたりすることがないから素晴らしいんだ。気持ちを安定させて取り組む。準備はいつも一貫している。そして集中力も。これが彼から学んだことだ」
同じアリゾナ州グレンデールをキャンプ地とするホワイトソックスとドジャースは3月6日(同7日)にオープン戦が組まれ、レギュラーシーズン中は6月24日(同25日)から3連戦が組まれている。移籍後初本塁打を許したが、スタッシーは茶目っ気たっぷりにリベンジを目論んでいる。
「ナックルを投げさせるよ。たぶん彼もナックルを打つことはできないと思う。でも、球界で最高の選手の1人だからな。ここ何年も彼のパワーを目の当たりにしてきた。健康そうだし、ホワイトソックス戦以外での幸運を祈っているよ」
戦友であり友人でもある大谷へ、かつてバッテリーを組んだ男は優しい口調でエールを送った。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)