吉田輝星の練習姿勢から「意気を感じた」 古巣時代から見守る厚澤コーチの“証言”
オリックス・厚澤投手コーチ、吉田輝星に「必ずプラスになる」
オリックスの厚澤和幸投手コーチは、日本ハムからトレード移籍で加入した吉田輝星投手の“復活”を確信している。「今、練習していることは、必ずプラスになると思う。必ず大きな戦力になってくれると思います。(状態は)だいぶ良くなってきました。すごい戦力になってくれると思いますよ」。“新戦力”の存在に目を細めた。
厚澤コーチが頷くのは「練習に取り組む姿勢」だ。オリックスでは、中垣征一郎巡回ヘッドコーチが指導する、鉄の棒を両肩に乗せ正しい体重移動を身に付ける「ドリル」と呼ばれる練習がある。体の上下のバランスが取れたフォームで、故障をせず出力を最大限に引き出すことが狙いで、体重移動のスムーズさが必要とされる外国人選手や、新加入の選手も個別練習などで取り組む。
吉田もキャンプイン早々に指導を受け、体重移動を意識した投球に取り組んでいる。「あいつは勝負をかけようとキャンプに入ったと思いますが、いきなりフォーム修正と言われました。普通なら戸惑うところですが、一生懸命にやろうとしてくれています。僕はそこに、あいつの意気を感じているんです」。
トレードで加入した吉田がチームに初めて合流したのはキャンプイン前日の合同自主トレだった。翌日から自分を最大限アピールしようと臨んだキャンプで告げられたフォームの修正は、吉田にとって出鼻をくじかれた形だが、真摯に向き合う姿を厚澤コーチは評価する。技術的にも改善が進んでいるという。「ここから手応えがあるものをモノにして、再現性を高めて10球中、8球ができるようになれば、もう本物になると思います」。期待値は高い。
吉田輝星は「1年間、バリバリと投げていたじゃないですか」
厚澤コーチは吉田がドラフト1位で入団し、初登板、初先発、初勝利を挙げた2019年は日本ハムで1軍ベンチコーチを務めていた。2022年からはオリックスの投手コーチとして、吉田の投球を見守ってきた。
吉田はここまでプロ5年間で3勝9敗、防御率6.23。まだまだ大きく飛躍できる。厚澤コーチは「伸び悩んでいたと言いますが、あいつも1年間、バリバリと投げていたじゃないですか」と、2022年に救援を中心に51試合に登板した実績を挙げる。
「技術はありますが、もっとよくなるだろう思っていて、オリックスにきてからもそう見ていましたね。タイミングや体重移動などをまだ掴んでいないなと。むしろ、力をロスしているように見えたので中垣さんにお願いして体重移動の方向性などを話してもらいました」
指導を受ける吉田は「今は8割の力で投げても、以前の10割で投げた時と球速は変わりません。以前は効率の悪い(体の)使い方をしていたのだと思います。意識は大きく変わりますが、新しいものに挑戦しているというより、力を入れた時でもバランスよく投げるというニュアンスに近いですね」と手応えを感じている。楽しみで仕方ない1年が始まる。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)