レンドンには「期待しないほうが」 番記者も直視せざるを得ない…大谷抜けたエ軍の現実
番記者が語る大谷退団後のエンゼルスの実情
愛犬、ドジャース移籍、そして結婚発表――。大谷翔平投手の“大フィーバー”が日本中で沸き起こっている中、ガラガラのクラブハウスを思い起こし、少し寂しそうな表情を見せる。昨季まで大谷がプレーしたエンゼルスは、今季厳しい戦いを強いられそうだ。地元紙「オレンジカウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者も楽観視はしていない。
「はっきり言って……地区4位になるのかなというのが予想」。16日、「SHO-TIME2.0 大谷翔平 世界一への挑戦」(徳間書店出版)の発売を記念しオンライン合同取材会に出席したフレッチャー記者はエンゼルスの話題になると、少し険しい表情を見せた。大谷が抜けたシーズン。投打でチームトップの成績を残した右腕の退団が痛手にならないわけはない。
「大谷翔平がいてすらエンゼルスは弱かったので。これはかなりの難題」。MLB公式サイトが発表したファーム組織ランキングではエンゼルスは両リーグ最下位。「本当に若い才能が枯渇している。ドラフトでもいい選手が取れていない。大谷選手がエンゼルスに入団する前からかなり問題なんです」とはっきりと述べた。
若手以外にも難題…活躍しないレンドンは「期待しないほうがいい」
若手が育たないだけではない。主力の怪我もエンゼルスを悩ませてきた問題だ。中でも、アンソニー・レンドン内野手は2019年オフに7年総額2億4500万ドル(約365億円)で加入。しかし、入団後は怪我に苦しみ、シーズンで60試合以上出場したことがない。今年のスプリングトレーニングでも脚の付け根に違和感を抱え離脱する場面もあった。
フレッチャー記者は「怪我さえなければ、今年5年、6年前のバッティングをしてくれるかもしれない」としつつ、現実的には活躍することに否定的。「おそらく5年、6年前と同じレベルではできない。力も衰えている。あまり期待しないほうがいいのかなというのが、正直なところです」と頭を抱えた。
大谷がドジャースに移籍し、ベッツ、フリーマンら“MVPトリオ”で世界一を目指す。一方のエンゼルスは現時点で9年間プレーオフから離れている。ドジャースvsエンゼルスのワールドシリーズを予想する人は現時点ではほぼいないだろう。フレッチャー記者も「(大谷の契約期間である)10年のうちにあればいいですね……」と悲しそうに笑っていた。
とはいえ、今季からロン・ワシントン新監督が就任。スプリングトレーニングの雰囲気は「明るくてとても前向きにはなってきている」と変化も感じている。フレッチャー記者は厳しい現実を理解しつつも、“快進撃”をひそかに期待している。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)