打率.200からの脱却へ、OP戦好調のワケ 廣岡大志が“初キャンプ”で得た収穫「最高の場所」

オリックス・廣岡大志【写真:小林靖】
オリックス・廣岡大志【写真:小林靖】

オリックス移籍2年目の廣岡大志、初の春季キャンプは「新鮮でした」

 オリックスの廣岡大志内野手は、確かな自信を持ち“勝負の2年目”に挑んでいる。昨シーズン途中に巨人から移籍し、初出場となった日本シリーズでは勝負強い打撃で存在感を示した。2024年はレギュラーを掴むため、一流打者たちの思考を取り入れている。

 宮崎で行われた春季キャンプは初参加。全体練習の時間は短く、個人練習に時間を費やす流れには「正直、ヤクルトと巨人との違いはめちゃくちゃありました。自分のやりたい、課題に取り組める時間は多かった。新鮮でしたね」と振り返る。チーム全体ではA班、B班と分かれているが1、2軍の区別はなく育成選手でも突然、A班の試合に呼ばれる環境は新鮮だった。

 守備練習では三塁、遊撃以外にも外野の全てのポジションに就いた。「試合に出られるなら、どこでもいい。与えられた所でやるだけなので」。複数ポジションをこなすため、他の選手に比べると練習量は必然的に増えるも「それだけチャンスがあるということ。自分としてはありがたい」と、練習の虫となり白球を追いかけた。

 打撃でも昨秋から取り組む「確実性を上げる打撃」に重点を置いている。昨季は44試合に出場し打率.200、1本塁打9打点(移籍後の成績)。パンチ力のある打撃に得点圏打率.304と勝負強さを見せたが、率を残すことはできなかった。プロ入り後からの課題を克服するため、一流選手たちに助言を求めた。

 当たればスタンドインする長打力は、誰もが認めている。必要なのはボールに対するコンタクト率を上げることだ。試合に出るために必要な“要素”を備える中川圭太、首位打者を獲得した頓宮裕真、今年から加入した西川龍馬らに積極的に話を聞きに回った。

新加入の西川らにアドバイスを求める「僕にとっては最高の場所」

「圭太さんは昨年からベンチで話を聞いたり。頓宮さんがメディアに向けて『バランスよくセンターに打つ』と話していたのを聞いて、これは凄くいいなと思いました。感覚的なもので言葉にするのは難しいのですが、打ちにいった中でどうなっているか、バランス的なところですね。

 龍馬さんは練習を見ていると、ずっと同じ打ち方に見える。形が一緒なんですよ。その日の天候、体の状態が違っても変わらない。それだけ崩れていないってことは何かが絶対にある。そういった話をしてもらいました。僕にとっては最高の環境でしたよ」

 頼りになる仲間たちから“打撃の極意”を吸収したことで、実戦では安打を量産。スタメン、途中出場でも気持ちは切れることなく、一時はオープン戦で6割を超える打率を残した。守備でも三塁、外野を無難にこなし、開幕スタメンへの準備は万全だ。

「これまでは初球(ファーストストライク)の捉え方が甘かった。ファウルにしたり空振りになったりして。追い込まれると厳しい球がくるので打者は不利。打撃を小さくするんじゃなくて、一発で仕留める確率をあげる。それが、良い感じにいって手応えは少しでてきた。でも、ここからですよ(笑)。出だしは良くても、続けないと意味がないので、しっかりやっていきたい」

 プロ9年目のシーズンは全ての項目でキャリアハイの数字を残す覚悟だ。「結果を残さないといけない立場なので。安心する暇はないですね」。1年を通しグラウンドに立ち続けるため、背番号「30」はなりふり構わず、バットを振り続ける。

◯著者プロフィール
橋本健吾(はしもと・けんご)
1984年6月、兵庫県生まれ。報徳学園時代は「2番・左翼」として2002年選抜大会優勝を経験。立命大では準硬式野球部に入り主将、4年時には日本代表に選出される。製薬会社を経て報知新聞社に入社しアマ野球、オリックス、阪神を担当。2018年からFull-Countに所属。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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