逸材だらけの巨人外野陣も…専門家が推す29歳「何でもできる」 熾烈な争いの最適解は?
戸郷翔征に求める絶対的な存在感「もう少しだと思います」
2024年のプロ野球は3月29日に開幕する。ヤクルト、楽天で計20年プレーし、盗塁王、ゴールデングラブ賞7度など、走攻守3拍子揃ったプレーでファンを魅了した評論家の飯田哲也氏が今季のセ・リーグを予想した。
「巨人は強くないといけない。僕のような他球団のOBでも、そういう思いがあります。強い巨人を叩くというのが、醍醐味でしたから」。飯田氏は現役時代に幾度となく覇を競ったライバルの逆襲に期待する。
昨年まで3年連続V逸の巨人は、通算17年間指揮を執った原辰徳氏から45歳の阿部慎之助監督にバトンタッチして迎える。飯田氏は「チームの雰囲気が変わってくるでしょう。新監督だから新しい目で、フラットな感じで見てくれるので選手の気持ちも新しくなる」と推測する。
注目するのが外野争い。実績ある丸佳浩、梶谷隆幸、29歳の松原聖弥、現役ドラフトで加入して2年目のオコエ瑠偉、身長2メートルの秋広優人、2年目の浅野翔吾、萩尾匡也、オープン戦で打率.400をマークした佐々木俊輔ら多士済々だ。
飯田氏は左翼に丸、中堅に松原、右翼に秋広の布陣を推す。「松原は足が使えます。バント、エンドランなど何でもできる。そういう存在がいないと打線は機能せず、勝てないですよ」。2021年に135試合出場も、昨季は21試合で無安打に終わった松原は、オープン戦の打率.320(25打数8安打)と復活気配だ。秋広はオープン戦の打率.125(16打数2安打)と結果を残せず2軍調整中だが、昨季は10本塁打。長いシーズンを戦う上で必要な存在と見ている。
投手では6年目23歳・戸郷翔征の更なる飛躍が必要と説く。昨年まで2年連続12勝をあげているが、山本由伸(ドジャース)がオリックスで築いた絶対的な存在感を例に「エースは対戦前から相手をビビらせるくらいであって欲しい。『きょうは戸郷か、嫌だな』という存在になってほしいですね。彼にはそれだけの能力がある。もう少しだと思います」と注文を付けた。
2位に推した中日…更に充実した投手陣、打線も活性化
優勝争いは「阪神の一択」と飯田氏は見る。昨季は2位・広島に11.5ゲーム差をつけて優勝し、日本シリーズも制した。切り込み隊長の近本光司、主砲の大山悠輔、佐藤輝明らほぼ不動のメンバーで戦えるのが強みと見ている。死角があるとすれば、「控えとの差があるので、怪我は怖いですね」と語る。
昨年3位のDeNAは今永昇太、トレバー・バウアーが抜けた先発陣投手をどう立て直すかがポイントと見る。牧秀悟がけん引する強力な攻撃陣で「打ち勝つしかありません」。ドラフト1位の度会隆輝は即戦力と太鼓判を押す。
“台風の目”になると予想するのは中日だ。オープン戦は10勝5敗5分けでソフトバンクと並んで勝率トップ。チーム防御率は1.97だった。「ピッチャーが素晴らしいので、今年は強いですよ」。柳裕也、小笠原慎之介、涌井秀章、ウンベルト・メヒアら充実した先発陣に、ベテランの大野雄大も肘の手術から復帰する。2軍調整中だが、昨年のWBCを経験した高橋宏斗もいる。
課題の打線も、打点王3度の実績を誇る中田翔が加入。昨季24本塁打の細川成也と共に打線の軸を任せられる。オープン戦で打率.391と気を吐いた高橋周平の存在も大きいという。昨年のチーム打率.234、71本塁打はいずれもリーグワースト。「点を取る形が見えてきた。上位を狙えると思います」。立浪政権3年目の逆襲に注目している。
◇飯田哲也氏の2024年セ・リーグ順位予想
1 阪神
2 中日
3 巨人
4 DeNA
5 ヤクルト
6 広島
(西村大輔 / Taisuke Nishimura)