専門家が絶賛、ハム23歳は「スーパースターに」 辛酸なめた2年…新庄監督の「見る目」
万波中正は「スーパースターになれる要素が満載」
2024年のプロ野球が29日にいよいよ開幕する。ヤクルト、楽天で計20年の現役生活を送り、盗塁王、ゴールデングラブ賞7度など走攻守3拍子揃ったプレーでファンを魅了した評論家の飯田哲也氏が今季のパ・リーグを予想。リーグをかき回す存在に、日本ハムと西武をあげた。
飯田氏は「新庄イズムが浸透してきたと思います」と日本ハムの“変身”を予感する。新庄剛志監督は就任から2年連続最下位の辛酸をなめた。派手なパフォーマンスばかりが捉えられがちだが、我慢強くチームの骨格を作り上げてきていると指摘する。
「新庄監督は人を見る目がずば抜けて肥えている。この選手はこういう場面で使うと力を発揮するな、とか。しっかり考えているんだなと感じます」
象徴的な存在は田中正義。ソフトバンクにドラフト1位で入団しながら苦しんでいた剛腕を、昨年に近藤健介のFA移籍に伴う人的補償で獲得した。懸案だった抑えに配置し、2勝25セーブと潜在能力を一気に開花させた。
万波中正、野村佑希、清宮幸太郎の高卒でほぼ同世代の若手も、指揮初年度から中軸候補として粘り強く起用してきた。「新庄監督はアメとムチを使い分けられるんです」と飯田氏。ただ抜てきするだけでなく、独特のコメント等で、プロとしてレギュラーとしてあるべき姿を教えてきた。
23歳の万波は昨季25本塁打を放ち、ベストナイン、ゴールデングラブ賞に輝いた。昨秋から野球日本代表「侍ジャパン」にも選ばれている。「ス―パスターになれる要素が満載。ホームランを打てて、レーザービームの強肩。凄い」と絶賛する。
新庄監督は昨年9月27日の続投決定会見で「今年のような成績であればユニホームを脱ぐ覚悟で、死ぬ気で選手を成長させながら戦っていきたい」などと語っていた。今季の先発陣は上沢直之が流出したものの、オリックスからFAの山崎福也を獲得した。「今年のファイターズは、ちょっと面白いですよ」と飯田氏はプッシュする。
優勝は鷹とオリの争いと予測、西武の投手陣は「半端ないです」
優勝争いはオリックスとソフトバンクの一騎打ちが濃厚と予想。「ちょっとだけ」ソフトバンクが優位と見る。
左の好打者揃いのソフトバンクにとって、右の大砲2人の補強が大きいと語る。西武から山川穂高がFA移籍。昨季は自身の不祥事で出場機会がほとんどなかったが、「関係ないです。実戦を離れただけで練習はしっかりしていました。絶対やりますよ」と太鼓判を押す。
巨人からトレード移籍したアダム・ウォーカーの存在も頼もしい。さらには周東佑京、牧原大成ら足を使える選手もいる。攻撃のバリエーションが豊富な点も他球団にはない強みだろう。
オリックスは大黒柱の山本由伸がメジャー、山崎福也は日本ハムへ移籍。先発投手陣の穴を埋められるか。「特に山本は絶対的でしたからね。素質のあるピッチャーは多いですけど、まだ1年間通した経験がないですから」。昨季新人王の山下舜平大、無傷の6勝をマークした東晃平らの働きが4連覇の鍵を握りそうだ。
西武は上位進出の可能性が十分にあるという。「投手陣が半端ないです」。先発は高橋光成、今井達也、平良海馬の昨季2桁白星トリオに、9勝の左腕・隅田知一郎らが続く。救援陣も、山川の人的補償でソフトバンクから甲斐野央が加わった。
課題は得点力で、昨年のチーム打率.233はリーグ5位、90本塁打はリーグワーストだった。新助っ人のヘスス・アギラー、フランチー・コルデロへの期待は当然ながら「バントなど小技を積極的に使っていく攻撃もありだと思います」。かつての山賊打線から180度転換、小技を駆使した策を提唱した。
◇飯田哲也氏の2024年パ・リーグ順位予想
1 ソフトバンク
2 オリックス
3 西武
4 日本ハム
5 ロッテ
6 楽天
(西村大輔 / Taisuke Nishimura)