“新顔”イケメンルーキーの矜持 開幕1軍入り高島泰都がフォークを投げない理由

オリックス・高島泰都【写真:北野正樹】
オリックス・高島泰都【写真:北野正樹】

イケメンルーキー・高島「フォークは投げません」

“新イケメン”右腕の武器は緩い球だった。オリックスの新人・高島泰都投手はチェンジアップを決め球に、開幕1軍入りを果たした。2023年ドラフト5位で入団した24歳は「フォークは投げません。投げたこともありません」とキッパリ。持ち味の緩急でプロの世界で大きくはばたく。

 ファンの間で「王子から来た王子様」と呼ばれる高島は、端正な顔を引き締めた。山崎颯一郎投手、平野佳寿投手らフォークを決め球とするセットアッパーやクローザーが多いオリックスで、緩い球で勝負する投手は少数派と言えるだろう。

 北海道・滝川西高校では控え投手として夏の甲子園に出場し、準硬式に転向した明大ではリーグ戦で通算23勝8敗、防御率2.38。王子製紙で硬式にキャリアを“再変更”し、社会人1年目から日本選手権で2試合に先発登板。社会人2年目の都市対抗でも2試合に先発して防御率0.90でチームの4強入りに貢献した。

 高島がフォークに目を向けない理由は「そんなに速球派でもありません。打たせて取るピッチングなので」という投球スタイルを確立しているからである。「チェンジアップでカウントも稼げますし、空振りも取れます。(フォークと同じ)落ちる系のボールですから、そこまで急いで(フォークを習得する)必要はないかなと。肘などを故障することも怖いですし」と、チェンジアップに自信を示す。

緩急生かす投球を「変えずに攻めていきたい」

 持ち味を発揮したのは、オープン戦初登板となった3月8日の巨人戦(京セラドーム)だった。3番手で登板し、先頭のオコエを初球145キロでストライク。2球目150キロ直球でファウルを奪ってカウントを追い込み、最後は132キロのチェンジアップを外角に決めて3球三振に仕留めた。

 続く門脇、岡本和を連続して右飛で仕留め、8球で3者凡退に。3月19日のDeNA戦(横浜)では左打者の佐野をカウント0-1から3球連続してチェンジアップで攻め、二ゴロに打ち取るなど2回を1安打無失点に抑え、首脳陣の評価を高めた。

「ストレートも走っていましたし、チェンジアップで三振を取れたので、自分の持ち味を出せたと思います」と巨人戦を振り返った高島は、DeNA戦(横浜)については「試合前にストレートとカットボール、チェンジアップが中心の投球と森(友哉)さんと打ち合わせをしていたので、いい球を引き出して下さったのだと思います」と配球に感謝した。

 オープン戦最終となった3月24日の阪神戦(京セラドーム)でも、1点リードの8回から登板し、8球で打者3人を片付け、開幕1軍を猛アピールした。開幕までの教育リーグとオープン戦での5試合で、7回を3安打、4奪三振、無四死球、無失点で防御率は0.00。阪神戦では151キロもマークし、135キロ前後のチェンジアップとの緩急差で打たせて取る投球をさらに引き立たせた。

 開幕前までに対戦した左打者に許した安打は1本だけ。「結果がよかったのは、ゾーンで勝負ができているからだと思います。まだ僕のデータがないということがあると思いますが、そこは変えずに攻めていきたいですね」。結果に満足することなく、自分を磨く。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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