宮城大弥が心掛ける“サボり”の真意 171センチから投じる剛球…「個別練習はしません」

オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】
オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】

オリックス・宮城、成功の秘訣は「サボっているだけです(笑)」

 適度の練習が無事是名馬の理由となっている。高卒プロ5年目で自身初の開幕投手を任されたオリックス・宮城大弥投手は、怪我をしないプロ野球生活を送るため、自分に合った練習量を心掛けている。「もう、サボっているだけです(笑)。適当にやる性格なので」。怪我をしない秘訣を聞いた際、冗談めかして答えたのは、彼なりの照れ隠しだった。

 プロ入り後、宮城の故障を表立って聞いたことがない。171センチの体から150キロ超のストレートを投じる。プロ野球選手で、しかも体を酷使する投手なら、世間に公表されていなくても大なり小なり痛みを抱えていることはある。

 ただ、宮城は興南高1年の秋頃に塁間も投げられなくなった時以来、故障で野球ができなかったことがないという。「野球を長く見るようになりました」。表情を変えて真顔で答える。「プロに入って1年目から、キャンプでも基本、午後からブルペンに入る個別練習はしませんでした。今だけを見るのではなくて、長く野球人生を送りたかったので」と明かした。

 指導者にも恵まれた。「元々、監督さんから『無理だけはせずに』と言ってもらえました。その言葉にも甘えながらという感じでした。最初は(練習をセーブする)怖さもあったのですが、新人のうちは順序が大事、積み重ねが大事だと考えました。僕はプロ入りした最初からファームで結果を出すことが1年目の目標だったので、そのために我慢した部分というのもあります」と、チームの育成方針にも感謝する。

高卒1年目、2軍で6勝「無理して投げていたらもっと良い結果が出ていたかも」

 プロ1年目にウエスタン・リーグで6勝を挙げてシーズン終盤に1軍昇格を果たし、プロ初勝利を挙げた宮城は、若手投手の良いお手本だ。しかし、宮城が過ごした雌伏の期間を知らない選手がほとんどでもある。

「投げさせてもらえるチャンスがあれば、試合でも投げることはできますし、普段のキャッチボールでも肩は作れます。肩は消耗品ですから、出力を出すところ、出さないところは考えています。無理して投げていたらもっと良い結果が出ていたかもしれませんが、それは結果論ですね。(自身の考え方は)現状では当たり、という感じではあります」

 今夏に23歳を迎える。若い投手に聞かれれば“サボりの真意”を惜しまず伝授するつもりだ。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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