宮城大弥、狙うは「裏のエース」 胸に秘めた「長く野球をやりたい」…22歳の真意

オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】
オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】

オリックス・宮城「時代を支えたのがエースという理想像があるんです」

 高卒プロ5年目で開幕投手の座を射止めたオリックス・宮城大弥投手が、今季「裏エース」を目標に掲げている。高卒プロ2年目から3年連続して2桁勝利を挙げた左腕の真意は――。

「自分からあまり『エースだ』と言っても、もちろん格好良くないと思います。裏のエースがいいですね」。笑顔でいたずらっぽく答えたのが“宮城流”の照れ隠しだけではない。「やっぱり、長く野球をやりたいので、時代を支えたのがエースという理想像があるんです」と続けたことからも明らかだ。

 多くの投手たちがそうであるように、宮城もまた前面に立ってチームを引っ張るタイプではない。実績にあぐらをかくことなく練習に取り組む左腕が目指すのは「何年か経って、あの年代のオリックスのエースは宮城だったね」というファンの声だ。短期間で「今のエースは宮城」と評価されるのではなく、現役を引退した後に、ある時代のチームを支えたことを思い出してもらえる選手を目指している。

 そのためには、長くプロ生活を全うしなければならない。基本になるのは「1年間、最後まで投げ切ることが1番大きな目標。怪我せずに、しっかりとチームの戦力として最後まで投げ切りたい」との思いだ。1年、1年の積み重ねがチームを強くし、自身を「エース」と呼ぶにふさわしい投手に築きあげる。

「僕は身長も低いですし、ペータ(山下舜平大投手)や佐々木朗希(投手、ロッテ)に比べて、話題性もそこまでありません。それはそれで僕の特徴だと思うので、そこは無理はせずにやっていこうと思います」。身体のハンディキャップを卑下することなく、2段モーションやプレートを踏む位置を変えるなど創意工夫を凝らし、打者と対峙してきた。

「ヨシノブさん(山本、現ドジャース)が抜けて最初のシーズン。チームのみなさんも大事なシーズンだと思っている。みんなで一緒に頑張れたらいいなと思います」。開幕戦から2戦連続で好投は報われなかったが、前を向き続け、3戦目に今季初勝利を挙げ、4戦目には完投勝利を挙げた。エースの矜持を胸に秘め、また大きく成長する。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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