大谷へ日系企業続々…水原騒動でも崩れぬ「クリーンなイメージ」 米記者が明かす効果
化粧品メーカー「コーセー」と複数年契約「今まで見たことない」
大谷翔平投手の所属するドジャースは29日(日本時間30日)、化粧品メーカー「コーセー」と複数年のパートナーシップ契約を結んだと発表した。今シーズンすでに、航空会社のANA(全日本空輸)、タイヤメーカーのTOYO TIREら複数の日系企業がドジャースと契約。米全国紙「USAトゥデイ」のボブ・ナイチンゲール記者も「ひとりの選手によって、チームが企業とこれほどのスポンサー契約を締結するのは今まで見たことがないよ」と驚いた。
毎週のように増える新たな日系企業との契約発表に、敏腕記者もただ感嘆するしかなかった。昨年12月に大谷はドジャースと10年総額7億ドル(約1093億円)で契約。ナイチンゲール記者は「6億ドル(約937億円)はないと思って、7億ドル(約1093億円)だったんだ。聞いたことない額だ」と振り返った。
当初は想像していなかったが、この日系企業の大集結を見れば、納得がいく。「ドジャースはスポンサー契約で年間1500万ドル(約23億円)を受け取ることができるから、元をとれると判断したんだね」と頷く。
大谷自身も伊藤園の「お~いお茶」ブランドとのグローバルアンバサダー契約を発表するなど、“広告塔ラッシュ”となっている。同記者によると、年俸以外の収入は6500万ドル(約101億円)。「彼はそんなにいらないから、これほどの(年俸を)後払いにしたんだよ。デレク・ジーターを大幅に超えて野球史上最高額だ」。
すでに6社と契約「もう、日本のチームみたいだね」
投打でダブル規定到達や2度の満票MVPなど、数々の偉業を成し遂げてきた。ただ、大谷に企業が集まる理由はそれだけではない。「彼の人気やクリーンなイメージだと思う」と同記者は見ている。
3月に元通訳の水原一平容疑者が違法賭博に関与し、大谷の口座からお金を盗んだとして球団から契約解除された。一部では大谷を疑うような意見を言う人も中にはいたが、その後、米連邦当局が大谷は被害者だと結論付けたと米メディアが報道した。
同記者も水原容疑者の騒動は広告塔へ「影響しなかったと思う」と分析。むしろ、騒動の中、自ら説明をし、さらに試合にも出場し続けた。「(大谷は)精神的に強いから、(水原問題は)払拭された。あと、自分は関与していないと潔白を証明したこともあると思う。彼のメンタルは凄いと思う」と好影響を与えたとすら考えている。
ドジャースは4月だけですでに6社の日系企業と契約を結んだ。これからも“大谷フィーバー”は止まらなそうだ。「もう、日本のチームみたいだね」。ナイチンゲール記者もただ笑うしかなかった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)