ドラ1逸材…横山聖哉が発見した“考え方” 結果が全ての世界で捨てた「綺麗なヒット」
オリックス、ドラフト1位・横山聖哉「すごい世界ですね」
高校時代に思い描いた理想のバッティングは、2か月で脇に置いた。オリックスのドラフト1位・横山聖哉内野手(上田西)が、内容にこだわることなく結果を追い求める。「やはり、想像していた通り、すごい世界ですね」。4月に入り、ウエスタン・リーグでの出場機会が増えた横山聖が抱いたプロの印象だ。
守備面ではミスの少なさに驚き、堂々とした立ち居振る舞いに目を引き付けられる。「簡単にミスはしないし、年齢差もあるでしょうけど、落ち着いて堂々としているように見えます」。優しい目で言葉を前に出す。
改めて思い知ったこともある。プロは結果が全てだということだ。「高校時代は、ヒットを打ってもしっくりと来ないような打席だったら悔しがっていました。でも、プロではどんなヒットでも1本になります。バットが折れてヒットになった選手と、良い当たりをしてもアウトになった選手なら、ヒットを打った人が(試合で)使ってもらえる世界ですから」。
低めの打球を遠くまで飛ばす技術、右方向へ高く上がる打球を追い求めていたが、プロはスコアボードの「H」ランプが点灯して初めて評価される世界だと気がついた。「綺麗なヒットだけがいいと思っていた」という“アマチュア”の考えは封印したという。
下半身のコンディション不良で、2月の宮崎春季キャンプ途中から別メニューでの練習となった。アピールしなければいけないと、オーバーペースになっていたようだ。実戦初出場は4月5日のファーム練習試合と出遅れたが、4月12日のウエスタン・リーグ、中日戦に「3番・遊撃」で公式戦初出場を果たすと2打数1安打。以後、この試合を含め10試合で「3番」に座り、34打数11安打、4打点、打率.324。この間、4月19日からの中日3連戦では猛打賞を含め6安打を放つなど、猛アピールを続け、今季2軍戦17試合の出場で打率.311を記録している。
高校通算30本塁打を放ち、プロの世界に入った。北信越大会決勝では、主砲・内藤鵬内野手(現オリックス)が在籍した日本航空石川と対戦。「あっという間にスタンドに吸い込まれた」と内藤が驚くほどの本塁打を放ったこともあるスラッガー。高校時代に投手を務めたこともある肩を武器にした守備も堅実だ。プロ向きの性格で、結果を求め続ける。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)