ドラ1横山聖哉「全てがダメです」 開幕から好ダッシュも…胸に刻む「謙虚」の言葉
オリックス・横山聖哉がグラブに刻む「謙虚」の文字
オリックスのドラフト1位・横山聖哉内野手が、2軍戦で謙虚さを胸にプレーを続けている。打席では「ヒットを狙いにいくというより、自分の形でバットを振ることを心掛けています」。と落ち着いた口調で話した。新人離れした明確な答えは、自信の表れなのだろう。
オーバーペースが原因となり、今季は下半身のコンディション不良で出遅れたものの、チームに合流した4月中に出場14試合で50打数19安打6打点、打率.380の数字を残した。出場2試合目の中日戦(ナゴヤ)で高橋宏斗投手から適時二塁打を放ったほか、4月20日の同戦でもチーム3安打のうち2本。4月24日のソフトバンク戦では、7回2死からチーム初安打となる中前打を放つなど、存在感を示している。
特筆すべきは、1打席目の安打が多いところだ。4月の14試合のうち初打席の安打は8試合。2度の3安打を含めたマルチ安打は5度も記録している。「1打席目に崩れたり、泳いでしまったりする姿を見せてしまうと、ピッチャーもその攻めを続けてきたりします。最初の打席で結果が出ると、ポンポンとヒットが出やすくなりますから1打席目は本当に大事にしています」と、18歳は冷静に語る。
ヒットを打ってもおごらず、打てなくても腐ることはない。5月に入りヒットが出なくなった時期もあったが「調子が悪いわけではありませんでした。飛んだ位置が悪かったなど、紙一重だったのかなと」と話す。プレーを支えているのは「謙虚」という言葉だ。
長野・上田西高の恩師、吉崎琢朗監督が常に説いていたもので「上のレベルにいくとおごりが出て全力疾走を怠ったり、結果が出ないと落ち込んだりすることが多くなるので、初心にかえる気持ちを持ってほしいという意味に捉えて、大事にしてきました」。
高校時代、帽子のつばの裏に記した「謙虚」という文字は今、グラブに刺繍され、守備に就くたびに心に刻む。自身で課題とするのは守備。「形や送球、ステップの全てがダメです。これ(守備)をしっかりとできないと、上(1軍)にいけないと思っています」。現状に満足することなく、ひたむきに自分を磨く。
◯北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)