死球の“当事者”から突然の行動…紅林弘太郎は「初めてのケース」、田中正義に感謝
死球の“当事者”から突然の行動…紅林弘太郎は「初めてのケース」、田中正義に感謝
スポーツマンシップになぞった“神行動”に胸が熱くなった。オリックスの紅林弘太郎内野手は、5月3日に本拠地・京セラドームで行われた日本ハム戦の9回2死から死球を受けた。ぶつけてしまったのは日本ハムの田中正義投手だった。
翌日、試合前の打撃練習を行っていた紅林の前に“出現”したのは、帽子を脱いだ田中正だった。22歳に向かって29歳投手は深々と頭を下げると「わざとじゃないんだ、ごめんね……」と一言。紅林は「わざと当てるピッチャーいないと思うんですけどね」と苦笑いした後、「普通に謝られたのでビックリしましたね。僕は初めてのケースだったので」と汗を拭った。
田中正にとってはプロ野球人生で2度目の与死球だった。紅林に謝罪に訪れた際も「結構、気にしていたらしくて……。日本ハムで一緒にプレーしていた吉田輝星さんから聞いたんですけど、めちゃくちゃ真面目な方で、すごく気にされるみたいでした」と丁寧な姿勢だったという。
ヘルメットを脱いで対応した紅林の返事は「全然、気にせず、ということをお伝えしました」。目を見て話し合い「めちゃくちゃ良い人なんだろうな、という感じがしましたね。真面目な方なんだなと」と表情を明るくした。
紅林は、田中正が駆けつけた際は「え? なになに?」と死球のことをスッカリと忘れていた。真剣勝負にも、少しの狂いはある。互いのパーソナリティーが表れた1つのドラマが、そこにあった。
○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。
(真柴健 / Ken Mashiba)