丸刈りにしても「野球が上手くなることはない」 紅林弘太郎を梵英心コーチが“丸裸”に
オリ梵コーチが語る…紅林弘太郎を「天然だと思ったことない」
伸びてきた髪は、成長の過程を証明している。オリックスの紅林弘太郎内野手は、4月中旬に“禊”の丸刈りを敢行した。あれから1か月半が経ち、3ミリに刈り上げた髪はどんどん伸びている。黒色に染まってきた頭髪を見て、梵英心内野守備走塁コーチが感じたことは……。
「(4月13日に)1試合3失策で髪を剃り上げたということでしたけど、髪型とエラーは全く関係ないですね。完全に気分転換です。バリカンを持てば、野球が上手くなるということはないと思います」
鋭い視線で切り込み、冷静沈着に語った梵コーチは「ただ、自分の中で『良い気分転換』ができたんじゃないかなという感じは見ています」と言及した。実際、髪を剃った後の紅林は着実に成績も向上し、表情に明るさも戻っている。梵コーチは「そうですね。もちろん、成長はしていますけど、気を抜いてほしくない。さらに上を目指して頑張ってほしいなと思っています」と温かく見守っている。
先輩の話を聞いていない瞬間があったり、遠征試合で新幹線移動の際、自宅にキャリーケースを置き忘れてしまったりする“お茶目”な紅林だが「うーん、どうですかね。僕は天然だとは思ったことがありません。(しショートは)野球の中で花形のポジションで、運動量も必要になります。そういう意味では(紅林は)体力もある選手なので。そこはすごく長所の要素だと見ています」と落ち着いた口調で話した。
試合開始直前に焼き肉丼やラーメンをお腹いっぱいに食べてから決戦に臨む22歳。衝撃の胃袋を持つが、梵コーチは「体力がある分、他の選手よりも多く練習もできる。実になる確率が高いと思って見ています」と驚くこともない。
肩の強い遊撃手として名を馳せているが「1番の長所は『捕ること』だと思っています。良い形で捕れないと投げられない。そこが彼の長所だと思っています」と梵コーチ。「彼には全部の要素がある。ずっと試合に出た経験を生かしている部分があると思います。練習では来ない打球も試合では来ます。アクロバティックな体勢で捕球しても、投げられる体の強さがあると思って見ています」。
今春には「カーネクスト侍ジャパンシリーズ2024」にも出場。人生で初めて日の丸のユニホームを着た。梵コーチは「本人も選ばれた時はすごく喜んでいました。『日本代表になるというのは誇らしい』『責任感も増えます』と言っていた」と22歳の胸中を明かした。「ただ、そこはそこ。今はオリックスの選手として成長していってもらいたいですね」。絶妙な距離感で、親心を見せる。
○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。
(真柴健 / Ken Mashiba)