茶野篤政「実力で結果を」 育成出身者の快挙から1年…プロ2年目で抱える“ジレンマ”

オリックス・茶野篤政【写真:北野正樹】
オリックス・茶野篤政【写真:北野正樹】

オリックス・茶野篤政「思っているバットの出し方とかができていないんです」

 プロ2年目は実力で勝負――。昨季の開幕直前に育成選手から支配下選手登録を勝ち取ったオリックスの茶野篤政外野手が、定位置獲りに向けて技術を磨いている。「去年はある程度、勢いのまま行けただけなので。今年はしっかりと実力で結果を残せるように取り組んでいます」。日焼けした顔を、さらに引き締めた。

 昨季は3連覇に向けたスタートダッシュに大きく貢献した。滋賀県東近江市出身。中京高、名古屋商科大、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスを経て、2022年育成ドラフト4位でオリックスに入団した。

 俊足、好打、好守の3拍子が揃い紅白戦、オープン戦でアピールを続け、昨季開幕直前に支配下選手登録を勝ち取った。プロ1年目で史上初の育成出身選手として先発起用された開幕戦で、初打席初安打、初盗塁をマーク。後半戦は疲れもあり伸び悩んだが、14試合連続安打や初本塁打をグランドスラムで飾るなど、チームに活気を与えるという中嶋聡監督ら首脳陣の期待に応えた。

 飛躍を誓った2年目は、打撃でアピールすることができず開幕1軍を外れた。「相手の攻めというより、思っているバットの出し方とかができていないんです」と、チームが休日の大阪・舞洲で打撃マシンを相手にバットを振り込む姿があった。打てなくなったことは首位打者に輝いた徳島インディゴソックス時代や、育成時代の短い期間のファームでもあったが、凡打の中にも良い感覚をつかむことで、浮上へのきっかけを掴んできた。

「今年も何とか感覚を掴めそうな打席が何回かあったのですが、掴みきれませんでした」。持ち味だったファーストストライクから振っていく積極的な打撃が影を潜めた。「結果がほしくてあまり手を出していけなかったのですが、かといって無理やり出していってもいい結果が出なくて、余計にバットが出せなくなってしまって……」と振り返る。

 休日返上の打撃練習が実り、5月10日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)から5試合で16打数8安打、2打点と調子を上げ、5月18日から今季初めて、1軍昇格を果たした。ただ、出場3試合で打率.250。5月31日に再び登録抹消となった。

「(プロ)2年目ですから、勢いではなく実力で結果を出すことを求められています。これからも自分の思い描くスイングを試合でも出していきたいです」。自分の役目や立場をわきまえ、力を磨くことに専念する。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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