“苦悩”は「全部捨てました」 リセットを決めた西川龍馬…6月は.370「続けていければ」

巨人戦に出場したオリックス・西川龍馬【写真:小林靖】
巨人戦に出場したオリックス・西川龍馬【写真:小林靖】

オリックス・西川龍馬、直近5試合で打率.400の“理由”

■オリックス 5ー0 巨人(8日・東京ドーム)

 今年30歳の“覚悟”が垣間見えた一言だった。オリックスの西川龍馬外野手が「今年やっていたことを全部捨てました」と復調のきっかけを明かした。「ここ最近は(打撃が)ちょっとずつ良くなってきているので。それを続けていければ良いですね」。さらっと言い放った言葉は、重かった。

 昨オフに国内FA権を行使して、広島から移籍。地元・大阪での活躍を誓って、ユニホームの色を変えた。ただ、リーグが変わったことなどもあり、開幕直後は不振に苦しんだ。強い打球を放っても野手の正面を突いた。打率が上昇せず「FA選手」の重圧がのしかかった。

 5月に開催された10泊11日の地方遠征。移動疲れのある中、誰にも知られない場所で無心になった。呼吸を止めて、バットを振り続ける。後輩選手が衝撃のシーンを目撃すると、表情を戻していつも通りの笑顔を作った。間違いなく“苦悩”の中にいた。

 6月に入ると「ミスショットも最初に比べたら少なくなってきています」と話すようになった。6月はここまで7試合に出場して打率.370。直近5試合に限れば20打数8安打の打率.400を記録している。最近では「4番」起用も目立つが「打順で(スタイルを)変えたりしないです。チャンスだったら(走者を)かえさないといけない。どの打順でも、試合に出ている以上、責任感を持ってやらないと」と冷静に話す。

 7日の試合では初回2死三塁からセンターに先制適時打を放つと、4回無死一塁の第2打席でバントをうまく転がして、内野安打をもぎ取った。その後、無死満塁の二塁走者となり、頓宮の右安打で本塁に生還した。右翼手の前にポトリと落ちるヒットだったが、迷わずスタートを切り「ちょっとギャンブル気味ではありましたけど、落ちると思って、思い切って行きました」と振り返る。

 4連勝でチームの借金は「5」。先発した19歳の齋藤響介投手にプロ初白星がつき「なんとか野手で点を取って。それができたので、良かったと思います。これから楽しみですね、由伸みたいになれば」と微笑んだ。全てを“リセット”した晴れやかな心で、日々を生き抜く。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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