ドタバタ捕球にベンチは「ダサっ!」 ラオウの“執念”を褒めた唯一の人物「勇気をくれる」

巨人戦で好守を披露したオリックス・杉本裕太郎【写真:小林靖】
巨人戦で好守を披露したオリックス・杉本裕太郎【写真:小林靖】

オリックス・杉本裕太郎のダイビングキャッチに「かっこ良かったぞ!」

■オリックス 5ー0 巨人(8日・東京ドーム)

 泥臭いプレーが真骨頂だ。オリックスのラオウこと杉本裕太郎外野手は8日に東京ドームで行われた巨人戦に「7番・右翼」で出場。2回の第1打席で左安打を放ったが、この日の“見せ場”は守備にあった。

 3点リードの5回。先頭打者・泉口の放った飛球は右中間に飛んだ。ドタドタの足で懸命に追いかけると、最後は左手を目一杯に伸ばしながら“執念キャッチ”。先発した齋藤響介投手を助けた。

 試合後、活躍した多くの選手たちが囲み取材を受けるのを横目に、選手会長は黙々と歩を進めた。「(負傷離脱した)福田周平選手が乗り移ったように見えました」と言葉をパスすると、明るい表情で口を開いた。

「(齋藤)俊雄コーチには『かっこ良かったぞ!』と褒めてもらえたんですけど……。他の(選手ら)8人くらいには『捕り方ダサっ!』と言われてしまいました(笑)。でも、捕り方がブサイクでも、捕れてよかったです!」

 タンクトップ姿にバットを持って引き上げる33歳は「みんな(怪我など)色々ある中でやっているので、(負傷者が)帰ってくるまではみんなで持ち堪えて行きたいと思います」と仲間を思いやった。

齋藤コーチ「あのアウトがバッテリーに勇気をくれるんです」

 その後、球場から出る齋藤俊雄バッテリーコーチに「ラオウさんの守備ですが……」と問いかけると「僕だけが褒めたって言ってましたか?」と“共通認識”があった。

 齋藤コーチは「シンプルに見たら『どんくさい』とか『かっこ悪い捕り方』だろうけど、こっち目線でみたらね……。必死に追って、捕る。アウトにする。1番大事なことだと思うし、かっこいいですよね」と絶賛。「ラオウにも言いましたけど『捕ればいい、ありがとう!』ということですよ。形はなんでも良いんです。あのアウトがバッテリーに勇気をくれるんです」と、またしても褒めた。

「一生懸命さが伝わってきますよね。決してかっこいいわけではない捕り方だし、ブサイクだけど……。でも、かっこよかったですよ、ラオウ!」

 愛情の掛け算が、チームを強くする。

○真柴健(ましば・けん)1994年8月、大阪府生まれ。京都産業大学卒業後の2017年に日刊スポーツ新聞社へ入社。3年間の阪神担当を経て、2020年からオリックス担当。オリックス勝利の瞬間に「おりほーツイート」するのが、ちまたで話題に。担当3年間で最下位、リーグ優勝、悲願の日本一を見届け、新聞記者を卒業。2023年からFull-Count編集部へ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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