主力脅かす若手が「非常に少ない」 12球団ワースト打率…2軍指揮官から若手へ“ゲキ”
二遊間は外崎&源田が君臨も控えは“手薄”
12球団ワーストのチーム打率.208(6日時点、以下同)の打撃不振に苦しんでいる西武は、野手陣の底上げが急務。若手の育成を託されている西口文也ファーム2軍監督が、Full-Countのインタビューに応じ、「若い選手に打撃でも、守備でも、自分の持ち味をどんどんアピールしてもらいたい」などと新星の登場を待ち望んでいる。
特に西口ファーム監督が待望しているのが、二遊間を守れる若手の台頭だ。「外野やサード、ファーストに比べて数が少ないですから」。3年目20歳の滝澤夏央内野手は昨年、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で負傷した源田壮亮内野手の離脱中、遊撃手として存在感を発揮した。今季も5月17日に1軍に昇格した。「もともと守備には定評がある選手。課題の打撃も、そこそこ打ってくれます。あとはどれだけ源田を脅かす存在になれるか」と指摘する。
昨季まで6年連続でゴールデングラブ賞を獲得している源田の壁は厚い。それでも西口ファーム監督は「若手が押し上げていって、ベテランを蹴散らすくらいの勢いを示さないと。押し上げがあれば、ベテランも頑張る。お互いに切磋琢磨していければ、チームは強くなりますよ」と強調する。「レギュラー陣を脅かせるレベルの若手選手が非常に少ない」と言う現状の打が課題だ。
ショートを守れる若手では他に、育成ドラフト2位の谷口朝陽内野手、同4位の金子功児内野手との名前を挙げる。外野手では2年目の古川雄大外野手、育成2年目の日隈モンテル外野手、育成6位から今月9日に支配下登録された奥村光一外野手らのポテンシャルに注目している。
未完の大砲、高卒2年目の古川は「ポテンシャルがあるし、まだまだ若い」
西口ファーム監督は昨年から設けられた3軍も統括している。「2軍では常に、1軍のメンバー入れ替えに対応できる準備しておかなければならない」とする一方で「なかなか2軍戦に出場できない選手に、3軍戦で実戦経験を積ませることができるのは貴重だと思います。2軍戦と3軍戦をうまく併用しながらやっていきたいと思います」。実績のない若手にも配慮している。
今季はチーム最年長の40歳、栗山巧外野手も4月21日に出場選手登録を抹消され、6月4日に1軍復帰するまで、イースタン・リーグで21試合に出場した(打率.242、1本塁打8打点)。こうした実績のある選手に出場機会を与えながら、並行して若手の育成も図らなくてはならない。「(調整と育成の)バランスを取るのは簡単ではないですし、全員平等にチャンスを与えるのは難しいですが、考えながらやっていかなければならない」と責任を痛感している。
次代を担う主砲候補で、1軍と2軍との往復が多い2020年ドラフト1位の渡部健人内野手には、「もうひと伸び、いや、ふた伸びしてほしい」とゲキを飛ばす。高卒2年目で1軍デビュー前の古川には「ポテンシャルがありますし、まだまだ若い。やらなければならないことが多く、実戦は3軍戦中心になりますが、そこでしっかり結果を出して自信につなげていけばいい」と長い目でアドバイスを送る。西口ファーム監督は置かれた立場の違う選手1人1人と、丁寧に向かい合っている。
(倉林知子 / Tomoko Kurabayashi)