マチャドの献身に「助かります」 米で実績も日本野球を「リスペクト」…頼れる“神”助っ人

オリックスのアンドレス・マチャド【写真:北野正樹】
オリックスのアンドレス・マチャド【写真:北野正樹】

オリックス・マチャドの献身的姿勢に厚澤コーチ「惜しみなく注いでくれている」

 献身的な姿勢に感心の声が上がる。オリックスの新守護神、アンドレス・マチャド投手のチームに対する貢献に、厚澤和幸投手コーチが感謝するばかりだ。「若い投手に対するアドバイスなど、MLBでの経験を含めて惜しみなく注いでくれているのは、すごく助かりますね」。マチャドへの思いを厚澤コーチは噛み締めるように、静かに語った。

 2010年にドラフト外でロイヤルズに入団したマチャド。2017年にメジャーデビューし、移籍したナショナルズでは2021年に40試合に登板、1勝2敗、11ホールド、防御率3.53。2022年は自己最多の51試合に登板し、2勝3ホールド、防御率3.34と結果を残した。昨季は44試合に登板して4勝1敗4ホールド、防御率5.22。メジャー4年で通算137試合、7勝3敗18ホールド、防御率5.26と経験は豊富だ。

 厚澤コーチが驚くのは、日本の野球に溶け込もうとする姿勢だ。「日本の野球をリスペクトし、研究心を持って取り組んでくれています。あれだけ実績のある投手なら、異国の野球に対して自分のやってきたスタイルを押し通してもおかしくないのですが、彼は日本の野球を受け入れるところから始めてくれたんです」。ブルペンでの肩の作り方や試合に向けての準備方法など、日本野球の方式やオリックスのスタイルを否定することなく、取り組んでいる。

 厚澤コーチが驚かされる場面があった。5月26日の西武戦(ベルーナドーム)のブルペンでの出来事。0-0の6回、出番が近づいたプロ2年目右腕、才木海翔投手がソワソワし始めた。前日に育成選手から支配下選手登録されたばかり。すると、マチャドは椅子に座っていた才木に近付き、「ワン、ツー、スリー」と声を掛けて深呼吸をさせ、帽子を取って頭を包み込むように抱擁したのだった。

 ブルペンのマウンドに立つ際にも再び才木の元へ駆け寄り、同じように深呼吸をさせて落ち着かせた。才木は1回を13球、無安打無失点でデビュー戦を終えることができた。一連の様子をそばで見ていた厚澤コーチは言う。「比嘉さんや平野さんらベテランがいなかった中で、ブルペン陣を引っ張る役割をマチャドがやってくれていて助かりました」。自分だけでなく、周囲を見渡す人間性に惚れ惚れする。

 マチャドは「(才木は)練習の時からすごく感情を出しているのに気付いていたということもありますし、僕も初めてメジャーに呼ばれた時には高ぶり、興奮しすぎた部分もあって彼も同じように見えたんです。僕の場合はラテン系のプレーヤーたちが一生懸命に声を掛けてくれましたし。2度目はものすごく固まっていたので、リラックスさせようと思いました」と、当然のことをしたという表情で振り返った。

 6月5日のDeNA戦から7日の巨人戦(東京ドーム)は、3連投を「志願」してチームの連勝にも貢献。“代役”守護神が周囲に与える、数字以上の働きから目が離せない。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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