「最後しっかりやろうよ」 崩れ落ちて号泣…DeNA度会隆輝に京田陽太が掛けていた言葉

DeNA・京田陽太(左)と度会隆輝【写真:荒川祐史、小池義弘】
DeNA・京田陽太(左)と度会隆輝【写真:荒川祐史、小池義弘】

サヨナラ失策のドラ1に「お互い1年目から出ている共通点はありますし…」

 DeNAのドラフト1位・度会隆輝外野手は、7日の阪神戦(甲子園)で痛恨のサヨナラ失策を犯した。大歓声に包まれる敵地で、膝から崩れ落ちて動くことができず。自らのプレーで勝敗が決してしまったことにショックの色が隠せなかった21歳のもとに駆け付けたのが、牧秀悟内野手と京田陽太内野手だった。

 京田は「隆輝に対して何かを言ったとかではないです。サヨナラ負けをして大和さん、トバさん(戸柱)、ヒカさん(伊藤)とかがベンチの前で待っていてくれた。試合に出ていない方々がああやって迎えてくれていたので『そこは最後しっかりやろうよ』ということは伝えました」と状況を明かした。

 2016年ドラフト2位で日大から中日に入団。新人だった2017年、141試合に出場してセ・リーグの新人王に輝いた。守備の要ともいえる遊撃で134試合に先発出場し、酸いも甘いも味わった。「サヨナラエラーの経験はないですが、タイムリーエラーをしたことはありますし、僕もいろいろな方に声を掛けてもらったりしてきた。お互い1年目から出ているという共通点はありますし、大変なのは分かるので」。そんな京田だからこそ、真っ先に度会が守っていた右翼の位置に向かったのだろう。

「引きずったミスは数えきれないほどあります。メンタル弱いので」と苦笑いするが、それでも次の試合はすぐにやってくる。気持ちの整理が追いつかないときも、もちろんあった。「とにかく次、バットで取り返そうという思いはあるんですけど、とはいえなかなか切り替えるのって難しいんです」というのが本音だ。

京田の信念「ノックひとつにしてもちゃんとやらないといけない」

 だからこそ、1日のオフを挟み、9日に横浜スタジアムで顔を合わせた度会には「普通にケロっとしていましたね」と驚きを隠せない。「いい意味で、もうちょっと引きずってもいいと思いましたが……。まあでも彼は切り替えがうまいと思いますよ」と感心していた。

 自らの苦い経験に「そういうのがあったおかげで今があると思うので」と言うことができるのは、全てを糧にして進んできた証だろう。中日時代は徐々に出場機会を減らし、トレードで2023年からDeNAに移籍。プロ8年目、30歳になった今、自身2球団目で再び存在感を放っている。

「ノックひとつにしても、ちゃんとやらないといけないというのがあります。周りのためにやるわけではないですけど、周りの信頼というか『あいつはちゃんとやっているから大丈夫だな』っていうのを練習から積み重ねるのこと、どういう姿勢で取り組んでいるかっていうのは大事だと思っています」

 度会が今後も壁にぶつかることは、きっとあるだろう。そんなとき、京田のような存在が身近にいることはどんなに心強いだろうか。先輩たちの言葉に耳を傾け、成長していくことができれば、チームにとっても大きな力になる。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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