8回100球超も続投…指揮官が託した“珍根拠” ベンチで驚きの一言、23歳初完封の裏側
西武の2年目右腕・青山がオリックス戦で初の完封&勝利
■西武 6ー0 オリックス(17日・ベルーナドーム)
西武の2年目右腕、青山美夏人投手が17日にベルーナドームで行われたオリックス戦で、9回を3安打無失点の力投。プロ初勝利を初完封で飾った。8回を投げ終えて球数は初の100球超えとなっていたが、渡辺久信監督代行は迷わずに続投を指示。そこにはまさかの“珍根拠”が存在していた。
青山は2回から5回まで無安打。6回に1死二塁のピンチを招くも味方の好守にも助けられて切り抜けた。8回を投げ終えて初の“大台超え”となる102球。新人だった昨年は39試合に登板し38試合が救援。今季から先発に転向したが、試合前時点で登板機会は3度で、最長イニングは6回1/3だった。
投げるスタミナが不安視されるなか、8回を投げ終えた青山に近づいた渡辺監督代行は驚きの言葉を投げかけた。
「亜細亜大学だから大丈夫だろ?」
大学球界でも屈指の練習量、厳しさで知られる亜大では先発投手として活躍。6-0という点差や「後ろ(の中継ぎ陣)も連投していたので」という理由もあったが、渡辺監督代行は迷うことなく続投を指示。青山も大学時代はブルペンで200球を3日連続でこなすなど猛練習を乗り越えてきただけにスタミナには自信アリ。勇んで9回のマウンドへ向かった。
昨年のオリックスとの開幕戦で森に痛恨の同点弾
また青山自身にも9回まで投げ切りたい理由があった。昨年3月31日のオリックスとの開幕戦では1点リードの9回に抑えとしてマウンドを任されたが、森友哉捕手に痛恨の同点ソロを被弾。チームは延長10回に決勝点を奪われて敗戦した。
「意識しました。完全に。8回が終わったときに3人目の打者が森さんと分かっていたので、最後はランナーを出さずに回したいなと思いました。(開幕弾は)頭から消しちゃいけないと思って、ずっと残っています」
この日の9回、相手の打順は2番から。最後は4番の森を仕留めて完封を飾りたかった。先頭打者から中飛、投直とテンポよく2アウトを奪う。狙い通りの2死走者なしで森を迎えると、1ボールからの2球目、106キロのカーブで右飛に仕留めた。青山は大きくガッツポーズ。“因縁の相手”を4打数無安打に封じ込んでみせた。
渡辺監督代行も随所で投げたカーブを絶賛した。「真っ直ぐは144、145キロなんですけど、差し込んでいた。外野フライが多かったけど、投げ勝っての外野フライだった。緩急のあるカーブが良かった。カーブを意識したら、真っ直ぐは差し込まれるので」と好投を分析した。
「今日は気持ちで投げ切ることができました」。チームが苦しむなかで好投した23歳は、大粒の汗を拭った。
(湯浅大 / Dai Yuasa)