山下舜平大の救援挑戦は「短期でも長期でも」 届けたい“魂の思い”…厚澤コーチの願い

オリックス・山下舜平大(左)と厚澤和幸投手コーチ【写真:北野正樹】
オリックス・山下舜平大(左)と厚澤和幸投手コーチ【写真:北野正樹】

山下舜平大の救援挑戦に厚澤コーチ「野球って、結局はチームスポーツなので」

 オリックス・山下舜平大投手はシーズン前半戦終了直前に、先発からリリーフに“持ち場”が変わった。その狙いについて厚澤和幸投手コーチは「彼には、3年後にはエースにのぼり詰め、誰からも文句が出ないくらいのエースになってくれないと困るんです」と明かした。
 
 今季ここまで、山下の状態は厚澤コーチら首脳陣の期待とは程遠かった。自身の初登板となった4月3日の西武戦(ベルーナドーム)は5回途中で降板した。被安打2、2失点と数字的には合格点だったが、8四球と大きく制球を乱した。
 
「昨年と明らかに違うのは、ボールを完全に操れていないところです。8個も四球を出すピッチャーじゃないんです。それなりにゲームメークはしてくれるんです。そんなピッチャーじゃありません。5回で降りるようなピッチャーじゃ困るんです」

 厚澤コーチの“叫び”に魂を感じた。その後、山下は3度の登録抹消。たどり着いたのが、ファームでのリリーフ転向だった。「これまで先発しかしたことがありませんから、ブルペンがどのような動きをしているのか、舞台裏でどんな準備が行われているのか、チームとしてどう動いているのかということを、知ってほしかったんです。野球って、結局はチームスポーツなので」。厚澤コーチは目を細めた。
 
 タイミングもよかった。「いろんなことが重なって、やってほしいことが今なら出来ると思ったんです。(球宴で試合日程が)4日間、空きますから。ブルペン陣の思いなどを知った上で先発に戻るのか、知らないままでいるのか。これから先のことを考えたら、気付くことがあると思うんです」。考え抜いた“挑戦”だった。

「相手を抑えることは先発でも中継ぎでも変わらない」

 ファンの間では、将来のエース候補を「配置転換」することに賛否両論もあったが、首脳陣にあるのは、次代を担う山下に刺激を与え先発ローテーション投手としての自覚と自信を取り戻してほしいという思いだけだった。
 
 救援登板も経験した山下は「監督や首脳陣とこの話をすることはないのですが、自分の捉え方1つだと思います。いろんな可能性や自分に刺激を与えてくださっていることには、感謝しかありません。もちろん先発をしたいのですが、相手を抑えることは先発でも中継ぎでも変わらないと思います。自分の調子が悪く途中でマウンドを降りると、リリーフの方々にどれだけ負担をかけているのかがわかっただけでも、絶対にプラスになります。新しい自分を見つけるつもりでやっています」と首脳陣の考えを理解している。
 
 山下は、初めてブルペン待機した20日の楽天戦(ほっともっと神戸)で、同点の延長12回から登板。四球と送りバントの1死二塁から代打・阿部寿樹内野手に勝ち越しの左前打を許し、敗戦投手になった。

「同点のしびれる場面に登板して失敗したわけですが、そこはチームの勝ち負けとは違うものがあります。ペータ(山下)には、最低でも7回は投げてもらわなければ困るんです。(救援は)短期でも長期でもいいんです。とにかく、何かをつかんでくれるきっかけを作ってあげたかったんです」。厚澤コーチが選手に注ぐ視線は、いつも温かい。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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