電話越しに“10秒の無言” 父が流した2度目の涙…鷹24歳、支配下で果たした親孝行
旅行中に鳴った電話…「大分の別府温泉の帰りで博多駅に着いた時に」
電話越しにでも、涙には気がついた。2桁の背番号が、親孝行の第一歩となる。ソフトバンクは24日、中村亮太投手、三浦瑞樹投手、前田純投手、石塚綜一郎捕手を支配下選手登録することを発表した。ファーム施設「HAWKS ベースボールパーク筑後」で記者会見が行われた。吉報を知った三浦は、すぐに両親に連絡をした。「親にも電話しました。『おめでとう』っていう言葉が最初に出てきて、父親は泣いていたので、しっかりと恩返ししたいと思いました」と決意は新たになった。
神奈川県出身で、盛岡大附高から東北福祉大に進学した。2021年のドラフトで育成ドラフト4位指名を受けてソフトバンクに入団。今季はウエスタン・リーグで11試合に登板して2勝3敗、防御率1.52と好成績を残していた。育成選手として迎えた3年目。支配下選手登録という一報は旅行中に知った。「大分の別府温泉の帰りで博多駅に着いた瞬間に電話が鳴った。やっとプロ野球の世界に入るんだなという気持ちが浮かびました」と笑顔で明かした。
最初に報告をしたのが、両親だ。電話越しでの父・実さんのリアクションは「少し話をして『おめでとう』とも言ってくれたんですけど、その後に10秒くらい黙り込んだんです。『ちょっと待って』って低い声で言ってきたので、泣いているんだろうなって感じました」。思わず声を詰まらせるほど、大切な人が喜んでくれる。自分が支配下選手登録を掴んだと、改めて実感する出来事にもなった。
母・純子さんは冷静なリアクション…背中を押すように「やっときたね」
父親が泣くのは、これが2回目だという。プロに入団する前、中学時代に所属していたチームが激励会を開催してくれた。「そこで『両親からの一言』っていう時に、話を始めた時にはもう泣き出していましたね」と堪えることができなかったそうだ。その瞬間を振り返っても「結構、情に厚い父親なんです」と誇らしげ。ようやく立てたスタートラインから、もっともっと家族を喜ばせていきたい。
「両親には迷惑もかけたし、心配もさせていた。支配下になって心配から“ホッと”に変わっていると思います。しっかりと活躍して、もっと安心させたいのが一番です」
父・実さんは感情が溢れた一方で、母・純子さんは冷静なリアクションだったという。「『おめでとう』『やっときたね』と声をかけてくれました」と力強く背中を押された。「1軍で投げている姿を見せることができれば、また泣くのかなって思います」と、次の親孝行は1軍登板だ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)