衝撃の「0.91」と「0.38」 見えてきた日本ハムの戦い方…固定されつつある“最強打順”
日本ハムの前半戦をデータで検証する
日本ハムは2年連続最下位からの脱却を狙う。セ・パ交流戦までは17カードで初戦を14勝、9カードで勝ち越しを決めるなど好調な滑り出しだった。ところが、交流戦では同一カード3連敗こそなかったものの、4カードで負け越し、トータル7勝10敗と苦戦した。
ちょうどそのあたりから主力選手の不調や怪我による離脱など“負のスパイラル”が発生。交流戦後もそれまで試合の終盤で粘りを見せてきた救援陣に綻びが出て、それまで2点台だった救援防御率は6月の月間防御率3.54にまで悪化した。ただ、前半戦を5連勝で終えたことは後半戦に向けての好材料だった。
捕手として最多の出場となっているのが田宮裕涼捕手である。松本剛外野手にも匹敵するほどのコンタクト技術を持ち、一時期は打率トップも経験した。7月12日には4打席連続三振を喫するなど少し調子を落とした時期もあったが、前半戦を終えて打率.306。なお、守備面でも盗塁阻止率.385とリーグ1位の強肩を発動。さらには俊足でもあることから、走攻守揃った選手であると言える。
打線は1番に水谷瞬外野手、2番に万波中正外野手、3番に郡司裕也捕手、4番にアリエル・マルティネス捕手といった上位打線が固定されてきた。後半戦で下位打線もしっかりと固定できればかつて「ビッグバン打線」と呼ばれた強力な攻撃陣の再来となることだろう。
ちなみに、データ上では今季のエスコンフィールドは他球場よりもホームランが出やすい球場となっている。日本ハムの選手は本拠地45試合で41本塁打(1試合平均0.91本)に対し、他球場では42試合で16本(1試合平均0.38本)と極端な結果となっている。
投手陣では、FAでオリックスから加入した山崎福也投手が6勝をマークし、上沢直之投手が退団した穴を完全に埋めているといえる。ただ、RSAAの評価が低いのは、被本塁打の多さが要因であると考えられる。被本塁打64はリーグワーストとなっており、エスコンフィールドをホームグラウンドにするチームの宿命。またRSAAでチーム1位を記録していた北山亘基投手の怪我による離脱は痛い。
後半戦では、山崎をはじめ、伊藤大海投手、加藤貴之投手、金村尚真投手らイニングイーターに次ぐ先発投手の台頭が待たれるところである。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。