日本ハムの兄より「長く野球をやりたい」 東京Dで会心弾…生田目が追いかけ続ける背中

SUBARUの生田目忍【写真:町田利衣】
SUBARUの生田目忍【写真:町田利衣】

SUBARUの補強選手・生田目忍が都市対抗で貴重なソロ

 舞台は違えど、ともに白球を追いかける。小さいころから見続けた兄の背中は、いつでも刺激を与えてくれる。日本製鉄鹿島からの補強選手・SUBARUの生田目忍外野手は、東京ドームで行われている「第95回都市対抗野球大会」で本塁打を放った。日本ハムの生田目翼投手を兄に持つ27歳は、密かに胸に秘める“兄超え”の野望を明かした。

 笑った際の目元や醸しだす雰囲気もよく似ている。「言われるときもありますけど……兄貴、カッコよくないですか? ちょっと髪型チャラいですけどね」。投手と野手とポジションこそ違うが、3学年上の兄に追いつけとばかりに野球に打ち込んできた。

「かなり刺激になっています。今年も1軍で投げていて、やはり負けられないなという気持ちを持っています。ずっと追いかけてきた存在ですし、あの人より長く野球をやりたいなと思っています」

 生田目は兄と同じ水戸工業高でプレーし、星槎道都大を経て日本製鉄鹿島へ。4番を務めるなど豪快なスイングで、昨シーズンからは主将としてもチームを牽引する。今夏の都市対抗は補強選手としてSUBARUのユニホームに袖を通した。

兄で日本ハムの生田目翼は6年目の今季すでにキャリアハイの25登板

 1回戦のJFE西日本戦は4打数無安打。しかし2回戦の三菱重工East戦では、1-0の4回1死で迎えた第2打席に左中間スタンドへ豪快な121メートル弾をぶち込んだ。貴重なソロに「初戦からチームに迷惑をかけてきて、何とか1本打ちたかったので気持ちで打ちました。ベースを回っているときに『行ってくれ』と願いました」と安堵した。

 しかしSUBARUは逆転負け。日本一を目指す戦いは幕を閉じた。それでも補強選手として「とにかくみんな明るい。今日は負けたんですけど前向きな言葉が多かったので、本当にいいチームだなと思いました。勢いに乗ったら止められないというか、今後もいいライバルとして戦いたいです」。再び始まる戦いに目を向けた。

 兄の翼は流通経済大から日本通運を経て、2018年ドラフト3位で日本ハム入り。昨季までの5年間で15試合登板にととどまっていたが、今季はすでに25試合に登板して2ホールドを挙げるなど飛躍の年となっている。

「兄貴は僕にあまり興味ないので(笑)。最低限しか連絡は取らないんです。終わったときに意外と『見てたよ』みたいなことがあるので、今回は分からないですけど」と生田目。そうは言っても、気にならないわけはないだろう。プロと社会人。それぞれのステージで、生田目兄弟の物語は続いていく。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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