「打てる捕手」へ進化するロッテ26歳 躍進の裏にある劇的変化…キャリアベストの.692

ロッテ・佐藤都志也【写真:小林靖】
ロッテ・佐藤都志也【写真:小林靖】

入団5年目のロッテ佐藤都志也は球宴に初出場…第2戦でMVP受賞

 ロッテの佐藤都志也捕手が7月26日の試合終了時点でリーグ2位の打率.302を記録している。自身初の大舞台となった「マイナビオールスターゲーム2024」では、第2戦で6打数5安打をマークしMVPに輝いた。今回は佐藤の球歴、セイバーメトリクスで用いられる各種指標に基づく特徴を紹介する。(成績は7月26日の試合終了時点)

 佐藤は2019年ドラフト2位で東洋大からロッテに入団。1年目は主に指名打者として60試合に出場し、打率.228、2本塁打をマークした。2021年は捕手としての出場機会が増加。6本塁打を放ったものの、打率は.205だった。

 2022年は自己最多の118試合に出場し、リーグ1位の盗塁阻止率.361を記録。8本塁打を放ち、一塁手で起用される機会も増えたが打率.214、OPSはキャリアワーストの.574だった。2023年は打率.218、4本塁打だったが、前年に続いて100試合以上に出場し、チームの2位躍進に貢献した。

 今年は課題だった打撃面で進歩を見せ、打率.302、OPS.722とキャリアベストの数字を記録。前年までの準レギュラーという立場から脱却し、今や打線に欠かせない存在となりつつある。

 昨季までの佐藤は低打率ながら長打力を持ち味とする打者というイメージが強かったが、通算長打率は.340、通算OPSは.632と、どちらの数字も高くはなかった。2024年のOPSはまずまずの数字だが、長打率に関しては.375と、高いとは言えない水準にとどまっている。

打撃スタイルの転換が奏功…積極アプローチで飛躍

 こうした傾向は、長打率から単打の影響を省いた真の長打力を示すとされる「ISO」という指標においても示されている。2024年のISOは.042とキャリアで最も低い数字となっている。さらに、本塁打を1本放つのに必要となる打席数を示す「AB/HR」も、2024年は131.00と、キャリア通算の50.27という数字を大きく下回っている。今季は逆方向への打球が増加していることも含めて、広角に打ち分けるスタイルの転換が奏功していると考えられる。

 打率と出塁率の差を示す「IsoD」に関しては2年目から3年連続で.100以上と優秀な数字を記録していた。特に2021年のIsoDは.182と優れた水準だった。これらの数字からも、慎重にボールを見極めるスタイルを取っていたことがわかる。しかし、今年のIsoDは.076とキャリアで最も低く、キャリア平均の.105を下回っている。一方で、打率がアップしたことに伴い、出塁率は.344と大きく向上し、キャリア平均の.293を上回っている。
 
 四球を三振で割って求める、打者の選球眼を示す指標の一つである「BB/K」についても、今季は.692とキャリアベストの数字を記録している。ISOが低下した一方でK/BBが改善されたという事実は、打てるボールの取捨選択という分野において、大きく選球眼が向上しているという見方もできる。昨季までは甘い球を見逃す機会もあったが、今季はより積極的なアプローチを取っていることがわかる。

 従来の一発長打の可能性を秘めた打者から、アベレージヒッターへと変化を遂げつつある26歳。投高打低の傾向が続く中、「打てる捕手」がチームにもたらすプラスの影響は大きくなりつつある。佐藤がこのまま好成績を維持して自身初の規定打席到達を果たせば、チームにとっても最大の収穫の1つとなることだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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